11月に観た機中映画のうちSF4作はすべてが駄作で、選んだ自分が悪い。あとは司馬遼太郎原作の邦画『関ケ原』を観た。ポスターはいつものIMDbより。
『Alien:Convenant』2017、監督:リドリー・スコット、出演:マイケル・パスベンダー、キャサリーン・ウォーターソン、ビリー・クラダップ、ヒューマン型ロボット(アンドロイド)が自分の意志で創造主(神)になろうとする。それに比べ人類はひ弱で甘い。過去のエイリアンシリーズでは、恐ろしいほど凶暴で生命力と強烈な個性を持つエイリアンに対し、人間、特に主人公のリプリーが生存権をかけて戦いを挑む姿をサスペンスいっぱいに扱っていた。ところが本作は、変な創造主を登場させたばかりにエイリアンのおどろおどろしい魅力が削がれてしまった。最後の人口冬眠(Cold Sleep)に入る場面も、おそらくほとんどの観客が想定できるだろう。エイリアン3作目でリプリーがエイリアンを宿す衝撃に遠く及ばない。前作『Prometheus』2012同様に駄作と言わざるを得ない。監督リドリー・スコットはエイリアン映画で何を目指しているのだろうか。★☆☆☆☆
『Life』2017、監督:ダニエル・エスピノーザ、出演:ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソン、ライアン・レイノルズ、真田広之、宇宙ステーションで、火星で見つけた単細胞の生命体を顕微鏡観察するうちに、生命体は細胞分裂をはじめ多細胞の知的生命体に変貌する。そして宇宙ステーションのクルーを攻撃し始める。成長を続ける生命体と人間とが戦い、クルーの一人が犠牲となって生命体を宇宙の彼方に葬り去ることに成功したかに見えたがーーーー。『Alien:Convenant』のエイリアンは凄みがなくなり、こちらのエイリアンの方が凶暴で知的でその成長は予想がつかなかった。★★★☆☆
『猿の惑星:聖戦記』2017、出演:アンディー・サーキス(シーザー)、ウッディー・ハレルソン、スティーブ・ザーン、シーザーが主人公の猿の惑星シリーズ3作目。身内が残忍な大佐に率いられた人間に殺されたシーザーは、数人の仲間と人間の基地に向かう。シーザーは基地に捕らえられ重労働を課せられた猿たちを救おうとするがシーザー自身も囚われの身となってしまう。第1作の『Rise of the Planet of Apes』2011は面白かったが、第2,3作は駄作。次が出てももう見ない。★☆☆☆☆
『The Dark Tower』2017、監督:ニコライ・アーセル、出演:イドリス・エルバ、マシュー・マコノフィー、トム・テイラー、予知能力のある少年は、世界を征服しようとする異次元世界のボスから狙われるが、世界を救うために戦っているガスリンガーとボスに戦いを挑む。多次元世界を行ったり来たりする。荒唐無稽のSFに必然性を求めてはいけないのはよくわかっているのだが映画の世界観がよくわからなかった。★☆☆☆☆
幸い11月洋画は『Sherlock Ep4.2』2017に救われた。Ep4は残りが公開されてから評価する。
公式Twitterサイトより
『関ケ原』2017、監督:原田眞人、出演:岡田准一(光成)、役所広司(家康)、有村架純(伊賀忍者)、平岳大(島左近)、東出昌大(小早川)、司馬遼太郎の『関ケ原』を読んだのは学生時代だから、もう40年も前のことだ。当時、戦国時代と幕末明治維新の知識は、ほぼ司馬の作品から仕入れていたので、確実に司馬史観のフィルターがかかっていた。大谷刑部や島左近が好きになったのも『関ケ原』の影響だった。その後しばらく司馬作品から遠ざかり、『街道をゆく』を手にしたのは30歳代半ばだった。未完の『街道をゆくー濃尾参州記』までを読破するのに10数年を要した。今、『街道をゆく』43冊は本棚に並び、旅や読書の際、折々に参照している。
さて、映画は小説のダイジェストとして観るにはよかった。映画には珍しく、司馬遼太郎が小説で述べる人物評を語りとして取り入れていた。有村たち忍者は蛇足で映画の飾りにもなっていなかった。それと光成が処刑される直前に柿を勧められ、柿は体に悪いとして断ったエピソードがなかった。この有名なエピソードが原作『関ケ原』にあったかどうか定かではない。CGが中途半端で天下分け目の関ケ原の戦いにしては迫力が足りなかった。司馬が描いた島津の敵中突破は活字ながらもっと迫力があったように思う。LORのような迫力ある戦闘場面を期待したからかもしれない。★★☆☆☆