新藤兼人監督が100歳で大往生したとのこと、ご冥福を祈りたい。
初めて、彼の監督作品を観たのは、中学生の時に見た「原爆の子」であるが、まだ、監督を意識して映画を見ていないが、大学生の時に見た「裸の島」は印象に残っている。
実は、これほどたくさんの脚本を書いていることは、最近まであまり意識していなかった。
アカデミー賞でも、作品賞を取った映画は、監督賞と脚本賞がセットになる場合が多い。
映画「一枚のハガキ」が話題になり、色々と特集が組まれ、過去の作品を見直す機会に恵まれたが、多分、見逃した作品をもう一度見るチャンスがあるだろう。
「一枚のはがき」に出て来るような話は、当時としては珍しい話ではない。同じような目に遭った人はたくさんいるはずだ。
私も、満州でソ連軍の戦車が進駐してきた時に死んでいても不思議ではない。
戦争の実体験をした人たちが、次々とこの世を去り、その記憶が忘れられないために映画は貴重な財産だ。
自伝的映画でもある「愛妻物語」、「落葉樹」は、彼の作品を理解する上では、観る必要がある作品だろう。
黒澤映画に志村喬がいつもいるように、新藤の映画には、音羽信子と殿山泰司が欠かせない。
良い作品は、俳優、脚本家、撮影技師他、多くの気心の知れた仲間によって成り立っているのだろう。