「あほリズム」
(901)
人間は「何のために生きているのか?」と問うが、そもそも人間
も始めは「生きもの」として生まれてくるのだから、たとえば、犬
やバッタや魚は「何のために生きているのか?」と問うこと自体が
無意味であるように、同じように人間に問うても無意味でしかない。
すべての「生きもの」は本能に従って子孫を残すことだけが「生存
理由」であって、それ以外の目的のために生きているわけではない。
人間は理性の進化によって本能の世界を超越して、世界の事物の認
識と確実性に到達しようと試みたが、その世界の事物に先立つほか
の事物の認識と確実性を見い出すことができなかった。(「スピノザ
著「幾何学的方法で証明された哲学原理」より一部引用)