「孤独は病か?」
イギリスでは孤独は病であるらしい。以下の記事を読んで、他国
のことではあるが、ひたひたと忍び寄る管理社会への予感に背筋に
冷たいものを感じた。
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英国で「孤独担当相」新設、現代社会の「悲しい現実」に対処
1/17(水) 22:10配信 AFP=時事
【AFP=時事】英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は17日、
「あまりにも多くの人々」が置かれている「現代の暮らしの悲しい
現実」に対処するために「孤独担当相」を任命した。
文化・メディア・スポーツ省でスポーツと市民社会を担当するト
レイシー・クラウチ(Tracey Crouch)政務次官が新設された「孤
独担当相」に就任し、英国社会の孤独問題に取り組む。
メイ首相は「わが国の社会、そしてわれわれ全員が抱える孤独と
いう問題に向き合い、高齢者や介護者、愛する人を失った人々──
話をする相手や自分の思いや体験を分かち合う相手がいない人々が
直面している孤独に対し、行動を起こしていきたい」と述べた。
英赤十字社(British Red Cross)によると、英国の人口6560万
人のうち900万人以上が常に、もしくはしばしば、孤独を感じてい
るという。同社は孤独と疎外は「隠れた流行病」であり、引退から
別離、死別など人生のさまざまな節目ですべての年齢層に影響を与
えていると指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News
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小林秀雄を読んでいて、やたらアンドレ・ジイドを引き合いに出
すので、家にあったジイドの「背徳者」を取って読んでみると、た
またま孤独についての文章を読んでいる時に、係るニュースを耳に
したので、その一文を引用したいと思います。
アンドレ・ジイド「背徳者」川口篤 訳(岩波文庫32-558-I)より
、これは主人公ミシェルの友人で探検家のメナルクが、新聞に誘導
された世論から受けた栄辱に対して、ミシェルに語りかけている一
文です。
「ところが、彼らの大部分は、他から強いらなければ、自分自身か
ら良いものは何一つ得られぬと考えている。偽られた自分にしか満
足しないのだ。銘々、できるだけ自分に似まいとしている。銘々、
守護神を自分にあてがって、そのまねをしている。自分のまねる守
護神を選びさえしない。出来合いの守護神を、そのまま受け入れる
のだ。しかし、人間の中にはまだ他に読むべきものがあると僕は思
うのだ。人はそれをあえて読もうとはしない。ページを繰ろうとも
しないのだ。――模倣の法則というやつだ。僕はこれを臆病の法則
と呼ぶ。人はひとりきりになることを恐れる。だから、まるきり自
分の姿が見えない。この精神的アゴラフォビ―(広場など人の集ま
る所に病的な恐怖を感ずる症状)が、僕には鼻持ちがならない。そ
れは卑怯の中でも最悪のものだ。しかも、他人が何かを発明するの
は、いつもひとりのときだ。だが、当今、だれが発明しようと努め
ているか?人が自分の内に感ずる他人と違ったもの、それこそがま
さにその人の持つ珍重すべきものであり、それぞれの価値を形造る
ものなのだ。――ところが人はそれを躍気となって抑えようとして
いるのだ。人はまねをする。そして、生を愛していると主張する。
」
直接的には孤独に対して何も語っていないが、ただ、全体主義に
対する強い批判を感じる。果たして孤独は不幸なのか?否、孤独か
らすべては始まるのだ!