goo blog サービス終了のお知らせ 

「(菅)話放題」⑥

2010-07-13 06:59:34 | 「(菅)話放題」


                「大江戸酷酔夢譚」


 かつて、東京メトロポリスで辺りを憚ることなく関西弁をひときわ大

きな声で発していた頃、新都庁舎の高層ビルが新宿副都心に完成し

てその豪華さから都民の非難の声が喧しく上がっていた。ちょうど

バブル崩壊後で都の財政も逼迫し、予算の見直しが避けられない状

況だったが、四期目の鈴木知事は東京再開発を断固として推し進

め、更に財政を悪化させた。何れの地方行政の借金もこの頃に膨ら

んだと思われる。人が住まない地域でも、建前は再び人が戻ってき

て活況を取り戻しても困らない為にと道路やコミュニティーホール

やふれあいセンターや公園や体育館といったものが、本音は景気を

支える為の公共工事が返済の見込みのない借金をしてまで造られた。

そんな財政再建が叫ばれる中、登場した青島幸雄東京都知事は予定

されていた世界都市博覧会を公約通り中止させ、その実行力に頼も

しさを感じたのは私だけではなかった。その後は行財政改革に取り

組むものと期待していたが、都職員の人員削減や給与削減は一向に

行われなかった。私は若さの至りで先の事など考えずに遊び呆けて

いたので、青島知事がどんな公約をしていたのか知らなかったし今

となっては知りたいとも思わないが、確か(確かでない)、公務員改

革も高い優先順位で挙げていた筈だった。しかし革(悪)まった財政

は何も改(正)まらなかった。ただ東京ではペットボトルの再利用を

呼びかけてコンビ二の店頭で回収することが決まった。彼はゴミ問

題に熱心だったが、もし分別されていないと収集員が部屋までその

ゴミ袋を持ってきて説教した、ところが私の暮らしていた区では燃

えないゴミも全て燃やされていることを報道で知らされて、私は怒

りに燃えた。

 話しが逸れてしまったが、公務員改革が如何に困難なことである

か、行政に柵(しがらみ)のなかった青島幸雄でさえ、彼は学生の頃、

スタンダールの「赤と黒」の主人公ジュリアン・ソレルに憬れてい

たと何かの雑誌に載っていた、そんな彼でさえ無血無涙の権力を執

行することが出来なかった。しかし、民間は温情から躊躇っていた

ら従業員と共倒れしてしまう。我々は公務員を養ってやがて共倒れ

するのか、それとも無血無涙の公務員改革を断行するのか、決断を

しなければならない時が近づいているのではないだろうか。

 私はあの時、なぜ青島都知事が財政再建を、つまり、公務員改革

を地方に先駆けて断行できなかったのか、赤字削減の「東京モデル」

を示すことが出来なかったのか、何故なら、その後の地方自治は、

東京に習ってドミノ倒しのように土建政治屋と中央官僚が仕組んだ

補助金に誘われて、身の程知らずの公共事業に血道を上げ莫大な債

務を抱え込むことになったからで、今でもその理由を知りたいと思

っている。それほど彼の政治決断に期待していた。

                                     (完)

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

「(菅)話放題」⑤

2010-07-12 18:22:40 | 「(菅)話放題」
                 「(菅)話放題」⑤

 以下は私の「下衆(げす)の勘繰り」ですが、

 なぜ菅総理は選挙前になって突然消費税の増税を持ち出したのだ

ろうか?

 彼や多くの政治家はこれまでにも何度も消費税選挙によって政権

交代が起った事を見てきた筈で、それを承知の上で口にした裏には

何か思惑があっての事だと思えてならない。では、どんな思惑があ

ったのかと想像すると、彼が「まずは自民党が提案している10%

を超党派で検討する」云々と語ったことに意味が隠されているので

はないだろうか。つまり彼は、消費税の増税を先に言い出したのは

自民党の方だという事を国民に強く訴えようとした。二大政党が表

明すれば消費税問題は大きな争点にならないと考えた。仮に批判が

あったとしてもそれは自民党にも及ぶはずだ。そういう考えを官僚

から諭されたのかもしれない。消費税増税の口火を切ったのは自民

党である。我々は検討すること自体は吝(やぶさか)かでない、と。

そしてあわよくばその尻馬に乗って消費税選挙を戦えると踏んだ。

もしそうだとすれば、そこには大きな勘違いがある。今までのよう

に民主党が野党であればそんな駆け引きも通用したかもしれない。

しかし、今やこの国の命運を託されているのは民主党ではないか。

下野した自民党との対抗意識に何時までも感(かま)けていてはいけ

ない。政権政党が向き合わなくてはならないのは野党ではない、国

民国家である。恥ずかしくも政権政党が自らの財政政策を語らない

で野党案に乗っかろうというのは幾ら何でもでも無責任だ。野党か

らの批判を受けながらも自らの政策を実行する断固とした指導者の

姿が窺えない。自民党は既に敵対勢力である、隙あらば足元を掬(す

く)おうと待ち構えているのだ。「野党と協議して」などと言って

いては政権政党としての能力が疑われる。菅総理は未だ野党根性の

ままで、それでは権力者の孤独に耐えられないだろう。いみじくも

彼は自民党の公約に対して「私はその勇気はたたえたい」とまで言

った。国民は総理大臣の政治評論を聞きたいのでない。総理大臣の

「勇気」が聞きたいのだ。

 ここからは、兼ねて自民党政権当時には同居していたこともある

民主党に「下衆の考え」を提案したいと思います。

 小泉政権以降、総理大臣は一年毎に更新されてPCでさえ今の総

理大臣を間違えるほどで、裁判も国民に任せたのだから、もういっそ

「一日総理大臣」の権利を国民に売って赤字財政の穴埋めにして、

何よりも直接民主制が叶っていいのではないかとさえ思ってしまうが、

総理大臣の政権運営を過去の成功例に求めると、小泉元総理が取

った政治手法しかないのではないか。つまり彼が「自民党をぶっ壊す!」

と言ったように、菅総理も「民主党をぶっ壊す」と強い決意を宣言して、

まあ宣言しなくてもすでに修復不能な亀裂をガムテープで着けてあるだ

けなんだから、それでも「ガムテープを外す」じゃ様にならないから、9月

からの政界再編を先取りしてそれくらいの意気込みを語って、それでは

何をするかとなると、私は公務員改革だと思っているが、要するにそんな

ことをすれば民主党が拠って立つ基盤を失うではないかと思われる程の

大胆な改革を提案しなければならない。かつて小泉自民党も郵政改革を

行えば特定郵便局の票を失うと危惧されたが、代わって余りある国民全

体の支持を得たではないか。奇しくも民主党には先鞭をつけようとしている

河村名古屋市長が孤軍奮闘している。そこで「公務員改革が出来なければ

民主党をぶっ壊す!」と言えば、非公務員の支持は公務員の比ではない。

短期政権が時代の流れなら唯一の政策を掲げて一点突破するしか方法は

ない。反して政権維持に拘って八方を丸く治めようとして弥縫策に終始すれ

ば、これまでのように国民の支持を失って八方塞がりに陥るだろう。今や世

界の人々は「危険な風潮」ではあるが、民主主義とは相反する強い指導者を

求めている。ただ、連合と永く馴れ合ってきた市民運動家あがりの総理大臣

では、 泣いて(公務員の)職場を斬ることなど出来ないか。

                                      (菅)⑤

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

「(菅)話放題」④

2010-07-12 09:56:15 | 「(菅)話放題」
          「(菅)話放題」④

        
 参院選挙が終わって民主党が惨敗したが、その原因は消費税の増

税を口にした事によると伝えられてが、どうしても解せないのは、

それじゃあ何で「消費税10%」とマニフェストに明記している自

民党が議席を増やしたんだろう。もしも私が消費税に反対するなら

民主党にも自民党にも投票しないだろう。だから消費税発言に対す

る反対票が自民党支持へ向かう筈がないと思うが。多分原因は違う

ところにあるんじゃないのかな。因みに私は民主党では公務員改革

は進まないと確信してしばらく別居することにしました。それは、

かつてのソ連ばかりでなくギリシャでさえも、公務員への厚遇が支

出を膨らませて財政破綻の要因になったことを見れば判るように、

況してや莫大な借金を抱える日本がまずそれに手をつけずに財政改

革を謳うなんて嘘もいいとこだ。歳出削減を実行するなら同じ民主

党出身の河村名古屋市長のようにまずは身内から始めなければ、民

間でサービス残業を強いられボーナスさえカットされる労働者は、優遇

された上に仕事らしい仕事もしない公務員天国に怒りを鎮めることなど

出来ない。そもそも国民の人頭に税金を掛ける前に公務員の首を切れ

と言いたい。果たして自治労や官公労などを支持団体に抱える民主党

に思い切った公務員改革が出来るだろうか。

 おっと!政党批判までしてしまったが、基本は政党の支持表明や

批判は行わないつもりですので、ここらで。

 ただ、菅代表が演説で云う「皆さんどうですか?」は「嫌いです」

(そもそも群衆の中から「いい」とか「ダメ」とか声を上げる人がい

るのかな?「そんなこと聞かれてもなあ・・・」)
 

                                (菅)④


にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

「(菅)話放題」③

2010-07-05 21:37:21 | 「(菅)話放題」
                「(菅)話放題」③


 我々は、1990年初頭のバブル崩壊をロールエンドにしてビデ

オテープに収録された高度経済成長時代の映像を、まるで逆回転

させたようなその後の二十年を送っている。1970年代初頭、株

価は日経平均で1万円の大台を超えんとして「奇跡的な成長」とま

で謳われ、人々は止まることを知らない繁栄に浮かれていた。それ

が再び株価は同じ1万円を巡って、バブル期の瞬間的に付けた3万

円台を分水嶺にして、遂に大台を割り込むまでに後退りしてしまっ

た。70年代の好景気に沸いた時代とは対称的(対照的)な下降する

ベクトルによって。

 1970年代の政治状況も様々な問題が指摘されていたが、問題

があっても力強い経済成長の勢いで飛び越えることができた。日米

安保の問題も、政治と金の問題も、社会保障の問題も、国内経済に

比すれば何れも「大したことじゃない」と言って先送りしてきた。

もちろん国民も今より遥かに若かった。しかし、それら先送りして

きた問題が逆回しの時代の下で再び映し出されようとしている。と

ころが今度は、収縮した経済に相対して巨大化した陥穽(かんせい)

を前に高齢化した国民はただ立ち止まるばかりで、嘗てのように飛

び越える勢いを失くして「大したこと」になってしまった。つまり、

我々は決して新しい問題に向き合っているのではない。ただ打っ遣

って措いた過去の宿題に悩まされているだけだ。政治と金で躓いた

小沢元党首を始め、日米安保に端を発する普天間移設問題を、米軍

と沖縄県民の苦痛と日本の国防の三竦(すく)みから迷走し、政権を

投げ出した鳩山政権に続いて、今度は菅政権が放漫財政のツケを消

費税で賄おうとして、国民と行政と経済成長の三竦みから迷走し、

再び国民の支持を失い政権から降りるようなことがあれば、政権は

一年交代から僅か半年の周期に短縮され、自民党は言わずもがな民

主党さえも国民の支持を失って、政治に対する国民の不信が更に高

まる。

 先立つ60年代後半は、世界はイデオロギーの違いから東西に別

れ、アメリカはまるで今の反イスラム主義によるアフガン攻撃に見

られる様な、反共産主義からベトナム戦争が始まり、それに先立つ

60年代初頭は我が国内に於いても、経済不況から治安が悪化し、

左翼政党が勢力を拡大して労働争議が頻発し、一方では政治疑獄が

取り沙汰されて政治不信が高まった。(来る参院選でもしも共産党

が議席を増やすことでもあれば、私の思い付いた「逆回転の日本史」

は杞憂では済まなくなるが)そして、その先を遡ると朝鮮戦争が勃発し、

更にその先を遡れば・・・。

 ただ、我々は既にアナログ時代を超えてデジタル時代を迎えてい

る。ビデオテープの逆回しという発想はいかにも前時代の考え方で

ある。私が危惧する「逆回転の日本史」もデジタル世代の若者の手

によって簡単にデジタル変換されて、再びアジアが混乱する時代が

繰り返されることがないように上手く上書きされることを願うばかりだ。

                                   (菅)③

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

「(菅)話放題」②

2010-07-01 08:15:10 | 「(菅)話放題」
          「(菅)話放題」②


 菅総理は、トロントで開かれたG8及びG20首脳会議で、我が

国は「経済成長と財政再建の両立」を目指すと宣言したが、それは

古くは忘れたが近々では、小泉政権の下で御用学者を財務大臣に迎

えて曰く「経済成長なくして財政再建なし」をスローガンに国民の

絶大な支持を得たことを思い出す。その後、退任した先生はマスコ

ミなどで「景気回復を果たした」と自らの功績を誇らしげに語って

いたが肝心の財政再建は一体どうなったかしら。借金は今や膨れ上

がって1000兆円を超えようとしている。つまり、「経済成長し

ても財政再建なし」だった。官僚たちに唆(そそのか)された政権が

財政再建を語る時に経済成長を持ち出すのは本気で返済する気がな

いのだと勘ぐってしまう。菅総理は「間違わなければ」と前置きし

たが、政府は、殊に財政再建に関して言えば一度たりと「うまくい

った」例(ためし)などなかったではないか。

 バブル景気の果てに経済崩壊が起こり財政再建を迫られる状況は、

徳川幕府の元禄時代に貨幣経済が発達して商業が繁栄し江戸文化は

最盛期を迎えるが、一方で年貢に頼る幕府は米の相対的価値が下落

して財政が逼迫し、更に放漫財政による破綻からそれを建直そうと

繰り返された「財政改革」を想起せずには居られない。吉宗が行っ

た「享保改革」は米価対策や貨幣改革などを進めたが、台頭してき

た商業主義を封建支配することが出来なかった。その後は賄賂政治

の「田沼時代」と彼を失脚させた松平定信の「寛政改革」、続いて

驕奢に耽る「文化文政時代」とそれを非難した水野忠邦の「天保改

革」というように、「幕府政治はシーソーの如く放漫時代と緊縮時

代を繰り返しつつ幕末の動乱期へと突入して行ったのである。」

            丸山眞男(著)「日本政治思想史研究」
             (第一章、第三節5)より抜粋引用

 これはまるでバブル崩壊後に迷走を繰り返す方今の政治と何と似

通っていることだろうか。経済成長をいえば借金を厭わずバラ撒き、

財政再建をいえば改革が叫ばれる。車を移動させるには順序が決ま

っていてアクセルを踏んだ後に然るべき処でブレーキが踏まれる。

しかし我々が乗った車はアクセルが踏み込まれて加速した途端にブ

レーキが踏まれ、そしてそれが何度も繰り返される。危なっかしく

て仕方ないと思っていると、事ここに至って運転手は「アクセルと

ブレーキは両立する」と言い始めた。もう、「我々」はどうやって

車を動かすかといった議論するのは止めて、目的について語るべき

ではないだろうか。つまり、いったい「我々」は何処へ行こうとし

ているのか。どういう社会を目指すのか。そしてそこへ行くにはち

ゃんと道が通っているのか。経済成長や財政再建といった議論は車

の運転技術の話しに過ぎなくて、「もしかして」単なる手段に過ぎ

ないのではないだろうか。

                          (菅)②

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村