今日お預かりした2台目は先日お預かりしたものの好結果が得られなかった Kenwood, L-01T FMステレ
オチューナーで別件で偶々この種の物を手掛けていらした方とコンタクトが取れ、貴重な技術情報が得
られたので再度診させて頂くことになった。この種のチューナーの修理、改造に付きましてはこちらの
ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。
可成り放送周波数から離調したところで T-Meter が+2.5、-2.2位を示した。
放送周波数に合っていると想われる周波数での S-Meter と T-Meter の各指示値。
VCO (VR6) の周波数を IC11 (HA11223W) の16番ピンで診てみた。 当初約59KHzだったのでこれを
67KHz (SCA?) に持って行くべく調整したが可成り不安定だった。 プローブの入力容量の影響?
Quadrature Coil(L6) を調整してみた。 T-Meter の指示値は可成り変化したが S-Meter に変化は
診られなかった。
結果次の症状が診られた。① Stereo 表示は常に点灯。② Automatic Muting モードでは R,L 出力にバリ
バリと云った可成りのレベルのノイズが出るが音声出力は無し。③ Multi Path の H 出力(モノラル出力?)
にも同様バリバリと云ったノイズのみが出力される。④ 同 V 出力には若干周波数をずらすと(スロープ検
波の様な感じの)音声出力が診られた。
11月1日 今回色々お教え頂いているHさんからご指摘を受けアリャリャとなったのはVCOの周波数は67KHz
では無く76KHzでなければならなかった。 数日前まで頭を悩ましていた古いトリオのFMチューナーで使われ
ている67KHz用フィルターのことが頭にこびり付いてのが原因かと想う。 サテ改めてVCOの周波数を合わせ
るべく周波数カウンター(前回はプローブ1:1で、今回は10:1で)を繋いで放送を受信したところ何と76.0KHz
だった。 放送周波数からずらし、VCOがプルイン・レンジから外れると下の画像の様に79KHz程となった。
プルイン状態ではL、Rで音声出力が出たがノイズのレベルの方が大きかった。 ただこのVCOの周波数は可
成クリチカルでプローブを外すと周波数が可成り変化する様だったので、音声出力が出る様VCOを調整した。
プルインの幅は可成り狭く、どうも入力レベルが小さい様に感じられたがSメーターの振れは十分なのだが?
L、Rの両出力共ノイズレベルが高いので Quadorature (日本ではどう発音しているのか定かでは無いが自分
ではクォドラチュアと発音していた。 1950年代の米国製テレビのFM検波に使われているゲーテッドビーム管
を使った回路にはこの名称のコイルが使われている)検波を行っている IC (LA1231) の6番ピン(Audio Out)の
出力を確かめてみたがノイズは全く無くクリアーなものだった。
11月3日 第二局発が機能していないのでは無いかとご指摘を頂いたのでこの部分に取り掛かった。
コイルの抵抗値が小さい為問題が有るのかどうかハッキリしなかったので外部から8.7MHzを加え2次側に
現れる電圧を診てみた。 最初信号源とコイル間に小容量のコンデンサを入れていたがこれを直結したの
が2つ目の画像。 特に問題は無さそうだったので再度組み込んだ。
2nd Loc.の8.7MHzの発振は1次側にオシロのプローブを当てると停止して仕舞ったが2次側で確認出来た
ので周波数は定かでは無いが(周波数カウンターには余りにレベルが小さかった)周波数変換後の出力→
FL1→FL2→IC3 #4 (パルスカウント検波、TR4010A) の入力波形が上の画像 *この直前に150MHzのオシ
ロが突然動作を停止したのでズット古い30MHz?のオシロに交換した。 下は#5パルスカウント検波の出力で
バリバリと云ったノイズが殆どだった。
11月5日 MPX用 IC, SN76115N を使ったステレオ復調回路を組んでみた。
Quadrature検波の音声出力(LA1231N #6)からの信号を加えVCOの周波数を76KHzに調整したが残念なが
らステレオ出力は出力されず、ステレオ表示のランプも点灯しなかった(離調しノイズが多くなると点灯した)
11月6日 昨日はMPX部の回路図を眺めながら帰路に着いた。 幾つか改善出来る点が見付かった....
一つは負荷が重い様だったので一部回路を変え、また入力レベルもギリギリの様だったので検波回路の負
荷を極力軽くした。 バラックでのテスト結果、好結果を得られたので組み込みステレオ・インジケーター部分
も良好に機能する様になった。 イヤハヤ疲れた!