今日お預かりしたのは久し振りの Philco, Predict G4242 (Holiday) でダンボール箱から取り出し
て CRT 前面のプラスチック・カバーの状態にビックリ! これまで可成りの数の Holidayを見て
来たがここまでの酷い状態の物は初めてとなった。 この種のテレビの修理、改造のご依頼はこち
らの ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。
20年以上前米国では動作していたと伺ったが前面のプラスチック・カバーの白濁は特にこの機種
の初期の物に顕著で、後に材料が変更され白濁のレベルは可也下がったと記憶している。
一応全ての真空管は点灯している様だが映像も、音声も全く出力されなかった。 可成り難航しそ
うな気配だった。 本来前面に設けられるスピーカーが裏面に置かれていた。
11月17日 これまでに見たことの無い酷い状態のフロント・カバーに取り掛かった。
通常フロント・カバーの内側が粉を吹いた状態になるのだが外側も可成りの状態だった。
気長に薄く剥がして行ったがイヤハヤ可成りの時間を費やしそうだった。 昨日偶々観たテレビ
で昆布を薄く削りおぼろ昆布を作っていたが正に同様の作業となった。 ひたすら削り続けた!
一応殆どの白化した部分を取り除き時間を確認したところ1時半を過ぎていたので慌てて昼食とした。
CRT の前面にも一部フロント・カバーが触れていたのか少しプラスチックが張り付いていた。
上はそのプラスチックを取り除いた結果。
シャーシーを表に出してみた。 セメント抵抗の一つが壊れていた。
これは下の回路図の中央に在る Fusible Resistor で殆ど断線状態だったので別の物に交換した。
垂直偏向の回路に手が加えられていた。
通電した結果暫くしてラスターが出始めた。 CRTが使えることがハッキリした。 本日時間切れ。
11月18日 実際に 4 CH の RF信号を加えてみた。 残念ながら音声も映像も全く出力されず細か
く回路を追う必要が有る。
11月20日 時間が出来たので先日の続きに取り掛かった。 音声も映像も全く出力されず電源が
怪しかったので電源回路を追った。
下の回路図の様に音声出力12CA5のカソードに発生する145Vを VIF, SIF, Sound Disc. Sync. Sep
等に加えたいるが、実測値は約 41V しか無く、これでは音声も映像も出ない。(こう云った回路は
国産のセットには先ず使われて無い)
通電してヒーターが温まったタイミングでは短時間 145Vが発生するが直ぐに 41V程となって仕舞
う。 トランスレスの回路で無ければ真空管を引き抜き問題は見付け易いのだが。 因みに負荷は
14KΩ程度だった。 別の 12CA5 に換えてみたが変化は診られなかった。
11月22日 昨日帰路電車内で今日のことを反芻した。 B+140V 回路を細かく診て見ることにした。
B+140V回路に使われている電解コンデンサ 100μ/200V に問題は無さそうだったが念の為交換した。
細かく回路を当たって行ったがフト6AW8Aを挿し込もうとして1番ピンが折れていることに気付いた
6AW8A を新品に交換した。
12CA5 の 1 番ピン、カソードの電位が更に低くなり +22Vしか無く何とも解せない。
上の画像の R31 (820KΩ) が断線しており無限大だったので 430KΩx2=860KΩ を加えた。
分かって仕舞えば原因は他に在り 12CA5 の g1 は 2番ピンだけで無く 5番ピンも使われており R31
を経由してグリッド・バイアスが加わるがこの R31 が断線しておりバイアスが加わって無かった。
一応画像が出た。 水平振幅が若干不足しており、また音声にブーンと云うバズが混入している。
細かい調整が必要だが今日は疲れて仕舞ったのと時間切れで明日以降。
11月25日 水平振幅が不足している問題に取り掛かった。 先ず偏向ヨークの位置を確認したが
問題は無かった(偏向ヨークが後退して仕舞うと振幅が小さくなる)。
水平振幅調整用の 12DQ6A のスクリーン電圧を確認した。 176-255V と問題無い値だった。
水平出力 12DQ6A の gm は 54/30 と問題の無い値だったが、水平発振を担っている 6CG7 は
79-16/50 と出力側の gm が非常に低かった。
11月26日 在庫の 6CG7 を探してみたが新品は無く古い物が数本見付かったが何れも gm が十分で
無く、自分で持っている同型機に使われている物も gm は十分では無かった。 ヤフーで落札した。
11月28日 落札した真空管が届いた。
届いた水平発振管に交換し動作試験を開始した。
暫く(30分程)通電し電源電圧も少し上げ120V程とした結果水平振幅は増加した。
12月2日 真空管試験機の可笑しな動作が直ったので確認が必要な真空管の動作を確認した。
ダンパー管 12D4 は 44/40、同期分離 9BR7 は 44/38 77-73/50、垂直発振 10DE7 は 92/51
31/33 と若干気になる値だった。
それとブースト電圧用の電解コンデンサ 10μF/450V が気になったので思い切って交換した。
12月5日 先日ブースト回路の電解コンデンサを交換した結果を診てみた。 通電して20分程で
水平振幅は以前より可成り大きくなった。 また1時間程連続運転をしてみたが垂直の同期も外れ
なかった。
12月8日 ふと前面カバーを見た時にアレレとなった。 先日表面の粉を吹いた部分をそぎ落とし
た際には気付かなかったのでその後発生したと想われるが近くに置いていただけで何も力を加えて
はおらず、暖房もしていないので誠に不思議だが一体何が有ったのか? 何か内部に潜在していた
力が加わったのか?