”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

55歳じゃなくても…

2013-02-08 10:40:49 | ブログ

なかなかまとまった時間が取れないので、

暮れに買ったこの本も、今、やっと読み終えました。

Img_6007

村上龍さんの「55歳からのハローライフ」

 

 

これは、60歳前後の人たちが主人公の中編、5編から成る。

婚活、再就職、幼なじみとの友情、ペットへの愛情、

熟年の恋などが描かれているが、

私はこれらを読みながら、「匂いのする小説」だと思った。

 

アールグレイの香り、コーヒーの香り、

プーアール茶の香り、潮の香り・・・。

中には、ものすごい悪臭が小説の中から漂ってきて、

自分にもその臭いがうつるのでは・・・

と思わせるものもあった。

 

 

一番印象に残った作品は、

中堅の家具メーカーでベテランの営業マンだった男性が

早期退職後、再就職を探す話。

取引の多かった会社に、再就職を頼みに行っても、

冷たくあしらわれ、

会社時代に築き上げた関係は、

会社というヨロイカブトを脱いでしまったら、

何の役にも立たないという現実にぶち当たる。

 

そしてこんな言葉をつぶやく。

「営業っていうのは、何の取り柄もありませんという

 代名詞みたいなもんなんだよ。

 愕然としたよ。」

 

 

男性だけでなく女性も、

会社時代の力関係とか、仕事の肩書をすべて脱ぎ捨てても、

輝いていられるかどうかが55歳からの課題だと

この小説は言っているような気がする。

「元○○会社勤務」とか「元●●(●には役職が入る)」というのは、 

どうでもいいことだ。

 

 

ただ、どの作品も最後は、

それぞれの匂いの中に、雲間から射す光を感じられるので、

55歳じゃなくても、なんか「リセット」したいと思っている人は、

読んでみてはいかがでしょうか?

 

コメント
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