透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

4北杜市のガッツリ貫通

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市白州町鳥原 4柱4○型トラス脚(倉庫貫通)2023.02.05

 前稿の火の見櫓を見てから国道20号を更に南下した。程なく前方に見えてきたのがこの火の見櫓。このガッツリ貫通は印象に残っている。再度観察した。


この道路は旧甲州街道だと分かった。


整った姿形の火の見櫓だ。上方への逓減の仕方が好ましく、プロポーションが良い。


③の写真と④の写真を見比べて気がついたことがある。風向計の向きが変化している。そうか、この風向計は今も動くんだ。今回初めて気がついた。


撮影方向の違いによって、分かりやすくなる形、分かりにくくなる形がある。屋根の形は④の写真、見張り台の形は⑤の写真が分かりやすい。何を撮りたいのか、はっきりさせて、好ましいアングルを考えるように心掛けたい。


以前はこのような写真を撮って「ハイ、終わり」だった。貫通やぐらということだけを意識していた。




だから、小さい踊り場にかわいらしい手すりが付いていることに注目していなかった。


貫通部分に刀の鍔(つば)のような水切りを付けて雨仕舞対策していることにも気がついていなかった。水切りにどのくらいの効果があるのか分からないが。


倉庫の扉に取り付けられているプレートに記されている建設年。昭和6年12月31日と読み取った。


火の見櫓の横の倉庫の錆びたシャッターボックスに大きく書かれた文字。喞筒はそくとうと読みポンプのことだと知っていたので分かった。瓦斯○ ガスの次の文字が読み取れない・・・。

なんとか「瓦斯倫喞筒置場」と読めた。瓦斯倫、がスリン? そうか、ガソリンだ。分かった時はうれしかった。これはガソリンエンジンで動かす送水ポンプ置場だ。この倉庫に注目したのも今回が初めてだった。やはり一度見るだけで済ませてはダメだ。


 


3北杜市白州町の火の見櫓 

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市白州町 4柱44型 倉庫またぎプチ貫通 2023.02.05 

 この火の見櫓は国道20号沿いに立っていて、走行していて遠くからよく見える。


この火の見の側面の写真を撮るのは初めてだと思う。二度、三度と見て初めて気がつくこともある。




屋根の四隅の隅角(すみづの)を撮った。なるほど、こうなっているのか・・・。肉薄と思われる鋼管下地の先にわざわざ如雨露(じょうろってこんな漢字なんだ、意味が分かる)のような別の部材を付けている。祭り神輿にも付けられている蕨手には厄除けの意味があるのではないか、と思うが、この隅角にはどのような意味があるのだろう。


メンテナンスされていてピカピカな火の見櫓は見ていてうれしくなる。踊り場のところの櫓にはブレースは設置していない。4面ともアーチ部材で補強している。


「倉庫またぎ」と「プチ貫通」
脚元の倉庫を跨いでいる。手前の脚部に設置してあるアーチ形の補強部材は倉庫の陸屋根スラブの端部と干渉しており、少しだけ欠き込んで納めている。後方の脚部にはアーチ形の部材は設置されておらず、スラブの端部と干渉していなかった。

消防章を付けたケージの中に赤色灯が取り付けられれいる。


火の見櫓の横は来福寺。

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軒下に小鐘(火の見櫓の半鐘と区別するために小鐘と呼びたい)を吊り下げてあった。鐘の上部の突起には乳という名前が付けられている。鋳物師によって、乳の形は違う。このことを同行のひのみ友だちに説明した。女性に乳の説明というのは、どうも・・・。元々このような寺院の鐘を火の見櫓の半鐘に転用したことがあった、と思う。


 


2富士見町落合の火の見櫓

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)富士見町落合 4柱44型トラス脚 2023.02.05

 前稿に挙げた美しい火の見小屋を見てから、山梨県道11号を引き返し、国道20号に向かう。国道20号に出る少し手前から、よく目立つ火の見櫓が視界に入ってくる。このあたりは何回も通っているから、既に見ていると思ったが、どうも記憶にない。集落内の細い生活道路を進み、火の見櫓の近くまで行った。下蔓木地区生活センターという館名板が掛けられた建物の裏側に立っていた。生活センターの裏側にまわり、火の見櫓の前に立つ。逆光を気にせず写真を撮った。このように少しシルエット状の写真の方がプロポーションが分かりやすい(苦しい言い訳)。均整が取れていて美しい櫓だ。


屋根の下り棟の先についているのは蕨手ではなく、隅角(すみづの)。見張り台はカシッとした4角形。


集落センターの正面側から順光で撮った。


脚部。これは3角形を構成した正しいトラス脚。

昨夜(5日)写真を整理していて、以前見たような気がしてきて確認すると、やはり見ていた(過去ログ)。





1美しい火の見小屋

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


1439 山梨県北杜市長坂町 4柱44(小屋)型ブレース囲い 2023.02.05

 先月、ひのみ友だちからこの火の見櫓を撮影した写真が送られてきた。親戚の方が偶々この道路(県道11号)を通り、火の見櫓を目にして写真を撮ったとのこと。写真を見て、美しい姿にすっかり魅せられ、是非見に行きたいと思った。場所は中央道小淵沢ICの近く。

昨日(5日)、写真を送ってくれたひのみ友だちと見に行ってきた。中央道を小淵沢ICで降りて、右折。10分足らずで着いた。近くに小淵沢CCがある。


周辺に集落はない。森林火災発見と火災発生時の伝達のための火の見櫓と推測される。

縦長の四角錘台の上に小さな小屋を載せた火の見櫓。細い直線部材で櫓を組み、丸鋼の交叉ブレースを設置している。簡素ですっきりした構造が実に美しい。小屋のプロポーションがまた好い。この櫓の上に載せる小屋の形はこれしかない、と思わせる。縦長の壁面に横長の開口を設けている。不要なものは何もない。機能上必要なものだけで構成されている。




柱脚部分で柱間隔が約4m。そう、これは底面が1辺約4mの正方形。小屋の高さは地上から約10m。大きさはどのくらいだろう・・・。1辺の長さが1.2~1.5mくらいだろうか。




この樹間の小屋を見ていて、吉村順三の名作「軽井沢の山荘」と、やはり軽井沢にある磯崎 新の「鳥小屋(トリーハウス)」と呼ばれる別荘(書斎)が浮かんだ。磯崎さんの書斎「鳥小屋」は木造で大きさは4畳半程度、4本の木の柱で地上から3m近く持ち上げられている。

樹間の小さな書斎で、好きな作家の小説を読む。目の前の木枝で小さな野鳥がさえずる・・・。新緑のころ再訪したい。


脚部は地面の下。この写真では分かりにくいが、丸鋼のブレースの端部(柱との取り合い部)にパイプ式ターンバックルが使われている。これがブレースすっきりの理由。


火の見櫓の横の小屋、「防火監視所」という看板が掛けられている。


この後、北杜市内の火の見櫓めぐりをした。山梨も火の見櫓が多い県、昨日は既に見ているものも含めて18基(*1)の火の見櫓を見た。次稿から順次載せていく。



*1 用途不明の建物(北杜市長坂町日野)の軒下に小鐘が吊り下げられていた。これもカウントして19基としていたが除外した。