『春宵十話』岡 潔(光文社文庫2006年初版1刷発行)
■ 著者の岡 潔って誰?という方のためにカバー折り返しにあるプロフィ―ルを載せる。**1901年、大阪市生まれ。京都帝国大学卒業。その後フランスに留学し、生涯の研究課題となる「多変数解析函数論」に出会う。後年、その分野における難題「三大問題」に解決を与えた。‘49年、奈良女子大学教授に就任。‘60年、文化勲章受章。‘63年に毎日出版文化賞を受賞した本書「春宵十話」をはじめ、多くの随筆を著した。‘78年没。**
この本には「春宵十話」の他にも随筆が何編か収録されているが、この中の「好きな芸術家」には漱石を論じた次のようなくだりがある。**漱石の作品は縦一列に並んでいる。だから正しくいえば「吾輩は猫である」に始まって「明暗」の途中に終る一筋の創作が全体として一つの創作である。漱石は一作をすませることによってそれだけ境地が深まり、その深まった境地によってさらに書くといったことを終りまで続けた人である。**(174頁)
著者は更に次のように続ける。**人の生命が一筋にしか流れないものである以上、境地を深めていけば縦一列になるほかないわけで、(後略)** このロジカルな説明は数学者ならでは、とぼくは思う。
**数学は論理的な学問である、と私たちは感じている。然るに、岡 潔は、大切なのは情緒であると言う。人の中心は情緒だから、それを健全に育てなければ数学もわからないのだ、と。さらに、情操を深めるために、人の成熟は遅ければ遅いほどよい、とも。幼児からの受験勉強、学級崩壊など昨今の教育問題ににも本質的に応える普遍性。大数学者の人間論、待望の復刊!** カバー裏面の本書紹介文
これを、数学の基となる自然数(数の言葉ヒフミヨ(1234))を大和言葉の【 ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と 】の平面・2次元からの送りモノとして眺めると、[数のヴィジョン]になるとか・・・
自然数のカタチ(情緒)からのキュレーション的な催しがあるといいなぁ~