透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「玉麒麟 羽州ぼろ鳶組⑧」

2023-02-18 | A 読書日記

 
 スターバックスコーヒー塩尻店は2020年の10月にオープンした新しい店。昨日(17日)初めてここで午後カフェ読書をした。ひじ掛け椅子に座って、ゆったりとした気分で読書。


読んだのは『玉麒麟 羽州ぼろ鳶組⑧』今村翔吾(祥伝社文庫2019年初版第1刷、2021年第4刷)。


「羽州ぼろ鳶組」シリーズを①火喰鳥から順番に⑧玉麒麟まで読んだ。昔から時代小説はあまり読んできていないが、このシリーズと「本所おけら長屋」シリーズは全て読もうと思っている。両シリーズとも、tamiさんのブログ「小さな幸せ」で知った。

「羽州ぼろ鳶組」シリーズは昨年(2022年)『塞王の楯』で直木賞を受賞した今村翔吾さんの作品。今村さんはストーリーが映画のように浮かんでいるのではないか、次から次へと流れる映像を描写しているのではないか、と読んでいて感じる。

『玉麒麟』の設定
主人公はぼろ鳶組の頭取並・鳥越新之助。
新之助は豪商の娘・琴音(ことね)と見合いをする。
琴音の家が炎上して、15人もの死者がでる。その場に居た新之助が火付けの下手人として追われる身に、という意外なというか、驚きの設定。
火盗改と江戸中の火消たちが、琴音と一緒に逃走する新之助を追う。
新庄藩火消は幕府から出入りを禁じられ、羽州ぼろ鳶組と呼ばれている新庄藩火消は動きを封じられてしまう。
下手に動けば新庄藩は取り潰されかねない。
ぼろ鳶組の頭取・松永源吾は身動きが取れない。

こんな厳しい状況設定で、どうやって新之助と琴音を助けるのか・・・。
行方が分からない琴音の妹は無事なのか・・・。

先が気になって午後カフェ読書で最後までのおよそ100頁を一気読みしてしまった。

次々張られる包囲網。新之助は絶体絶命のピンチを次々切り抜けていく・・・。最後には助かることは分かっているけれど、ハラハラドキドキな展開。火消の新之助は、実は江戸で十指に数えられる剣客。この『玉麒麟』では新之助の剣客ぶりが存分に発揮される(といっても迫りくる追手をバッサリ、とはしない)。新之助の動きは映画化するなら実写ではとても無理、と思わせる。

琴音は新之助と江戸の街を昼夜逃げ回るうちに次第に彼に惹かれていく。これも「吊り橋効果」と同じ心理かもしれない。そして新之助も琴音に惹かれ・・・。物語のラスト、ふたりはめでたく結ばれるのか、と思いきや先延ばし。

⑨双風神、⑩襲大鳳(上)、⑪襲大鳳(下)を早く読みたい、それから黄金雛も。