透明タペストリー

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1上田市小島の火の見櫓

2023-02-09 | A 火の見櫓っておもしろい

■ 信州の鎌倉「別所温泉」周辺を塩田平という。今日(9日)、塩田平で火の見櫓めぐりをして、初見と再見合わせて12基見てきた。順次紹介していきたい。


(再)上田市小島 4柱4〇型たばね脚 2023.02.09


この風景に既視感があった。調べてみると、2014年の7月に見ていた(過去ログ)。



東信地域では屋根が4角形で見張り台が円形という組合せが多く、全体の7割近くを占める。また櫓の交叉ブレースは上部が平鋼、下部がリング付きの丸鋼というタイプが多い。踊り場は櫓の1面だけに張り出すタイプが多い。また、脚はアーチ形の補強部材を柱と一体化して下端まで伸ばした、たばね脚が多く、全体の6割を占める。この火の見櫓はこれらの特徴をすべて備えた、東信のプロトタイプ。


 


18北杜市高根町の火の見櫓 再見に気づかず(追記)

2023-02-09 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市高根町五町田 4柱44型トラス脚 2023.02.05

 三角柱を横に倒して置く。前から見ると四角形に、横から見ると三角形に見える。では前(または後ろ)から見ると四角形、横から見ると三角形、上(または下)から見ると円形に見える。この立体はどんな形でしょう。このようなことを問う問題が随分昔(*1)にベストセラーになった『頭の体操』というクイズ本に載っていたことを覚えている。この立体の形はコーヒードリッパーに似ている。是非確認を。

ものはどこから見るか、見る方向によって形も印象も違う。火の見櫓も同様で、アプローチする方向が違うと印象が全く違って、以前見た火の見櫓だと気がつかないことがある。5日、最後に見たこの火の見櫓がそうだった。既に数回見ているのに、全く気が付かなかった。

今までは中央道の長坂ICから県道32号を東に進んでこの火の見櫓の手前まで来ていた(上の写真に写っている道路(県道32号)を左から)。今回は初めて、西に向かってここに来た(県道を右から)。自宅に帰ってから写真データを確認してようやく既に見ている火の見櫓だと気がついた。


前面道路沿いに消防倉庫、その横やや後方に火の見櫓を配置している。なだらかに末広がるフォルムが美しい。


本稿で今回見た火の見櫓18基の掲載終了。
・車を空き地などの安全な場所に停めることを心掛けた。そのこともあるかと思うがかなり歩き、この日の歩数はおよそ6,000歩だった。
・ひのみくらぶ会員のひのみちゃんと一緒に火の見櫓めぐりをした。楽しく有意義な一日であった。感謝。

追記2023.02.09
山梨県北杜市内で見た火の見櫓17基の型の内訳
4柱44型    ・・・・・ 7
4柱4○型      ・・・・・4
4柱8○型      ・・・・・1
3柱1構面梯子型  ・・・1              
4柱1構面梯子型  ・・・1
火の見梯子控え柱付き  3
                              計   17
北杜市内で見た火の見櫓の型は4柱44型が最も多かった。長野県の南信地域でも同様の傾向がみられる。


*1 第1集の刊行は1966年。


火の見櫓の形状の体系的分類(修正)

2023-02-09 | A 火の見櫓っておもしろい

  ①-1,2
 昨年末から年始にかけて火の見櫓の形状分類に関する記事を数回投稿した。それらをまとめて再度書いて、形状分類について通欄できるようにしておきたい。

※2023.02.09 修正

火の見櫓の研究のスタートとして形状分類は欠かせない。研究対象が何であれ、分類は「基本のき」であろう。それで対象の総体を明らかにし、その中に研究対象を位置付ける。この場合、なんとなく形状が似たものをひとつのグループ、分類肢にまとめるのではなく、論理的根拠に基づく体系的分類をしなくてはならない。

①に電柱の写真を載せた。どちらも柱が2本の複柱で、柱の本数だけに注目して分類すれば両者は同じ分類肢に入る。だが、①-1と①-2では柱の役割が違う。①-1では主柱と控え柱とに役割を分担している。①-2では2本の柱が構造的役割を等しく分担している(積載荷重を等しく支えている)。このことにより、両者を区別し別の分類肢を設定する。この捉え方を火の見櫓の分類にも適用する。

 ②-1,2
電柱に対応させて火の見櫓を挙げた。どちらも柱3本だが、後方の柱の役割が電柱と同様に異なる。


1 火の見櫓の大分類 ― 柱の本数を基本とする分類

柱1本
・火の見柱 
・火の見柱梯子掛け
柱2本
・火の見梯子 
・2本柱梯子掛け
柱3本、4本
・火の見梯子控え柱付き(②-1)
・3柱(4柱)1構面梯子(②-2)
・火の見櫓 (→2 中分類)

 ②-2について柱3本または4本から成る梯子として、3柱(4柱)火の見梯子としていたが、柱3本または4本の櫓で1構面が柱という捉え方に変えて、3柱(4柱)1構面梯子と変える。要するに今まで梯子として捉えていたのもを櫓として捉えるということ。柱が3本、4本(それ以上)であれば立体的な構造、即ち櫓と捉えるということとの論理的矛盾を整合させたい。1月4日に書いた下の記事(茶色の文章)を修正する。

柱の本数は櫓の最も基本的な要素。それで3柱、4柱というように柱の本数に代表させて櫓の特徴を捉え、表現している。ブレースや火打ちなど櫓の他の要素の分類は今後の課題だが、梯子状に組まれた構面には注目して分類要素とする。


 
左:長野県茅野市 右:長野県塩尻市

分類上、悩ましい形だ。梯子と後ろの柱が横架材で繋げられ、更にブレースまで設置されている。櫓の構成上、3本の柱が等価、同じ役目を負っている。だから論理的にも構造的にも火の見櫓だと判断して問題はなく、火の見櫓と分類上同じだと見做しても良いと思う。だが、区別したい。論理的な整合性が取れないことは承知の上で⑥を3柱火の見梯子としたい。

追記:2023.02.09にこの捉え方を改めた。



柱6本の火の見櫓 茨城県小美玉市 撮影日2016.09.04 

茨城県小美玉市、結城市には柱6本の火の見櫓があったが共に撤去され現存しない。


2 火の見櫓の中分類 ― 火の見櫓の構成要素の形状による分類

火の見櫓の構成要素の内、柱の本数と屋根、見張り台の平面形状に注目すれば網羅的に分類することができる。

 ④-1,2
④-1 柱3本 屋根6角形、見張り台円形 ④-2 柱4本 屋根4角形、見張り台4角形

3柱6〇、4柱44と表記する。コードナンバー的に36〇、444という表記もできる。具体的な表記でも一向に構わない。目的に応じた表記をすればよい。


3 火の見櫓の小分類 ― 火の見櫓構成要素の分類 その1 脚の分類


火の見櫓の構成要素とその名称

火の見櫓は⑤に示す構成要素から成る。これらすべての分類をする必要があるが、現時点で分類できているのは脚のみ。それ以外の構成要素の分類は今後の課題である。

以下、過去ログの再掲。

 


① 開放 


   
② ブレース囲い 左:片掛けブレース 右:交叉ブレース


 


③ ショート三角脚



④ ロング三角脚



⑤ ショートアーチ脚



⑥ ロングアーチ脚



⑦ 束ね(たばね)脚



⑧ トラス脚


⑨ 複合型 ①~⑧の組合せであることから、次の例の様に名付ける。

     
ブレース囲い前束ね脚  ブレース囲い前トラス脚


注:現時点では火の見櫓の形状のみに注目し、高さや材質を分類の観点にしていない。

2023.02.09修正