透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 2023.01

2023-02-01 | A ブックレビュー

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 今日から2月。1月は寒くて外出を控え、自宅で本を読んで過ごすことが多かった。左端の黄色の年越し本『城郭考古学の冒険』以外の9冊は図書カードで購入した。カードをプレゼントしてくれたMに感謝。

『城郭考古学の冒険』千田嘉博(幻冬舎新書2021年)
**学問の壁を超えてつかんだ城の総体は、まさに地域の歴史と文化を物語る、それぞれの地域にとってかけがえのない歴史遺産・文化財となる。**25頁 火の見櫓然り。

『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』藤𠮷 豊・小川真理子(日経BP 2022年11刷)
**「書かれた文章」は、「その人の人生そのもの」です。**カバー折り返しの紹介文。基本ルールの第6位は比喩・たとえ話を積極的に使う。

『ゴリラの森。言葉の海』山極寿一・小川洋子(新潮文庫2021年)
守備力があるふたりの言葉のキャッチボールは続く。少しそれたボールでもキャッチして返してくれるから(と、たとえ話)。ふたりのゴリラ語りは人語り。

『果しなき流れの果に』小松左京(ハルキ文庫1997年第1刷、2020年新装版第2刷)
『日本沈没』『復活の日』『日本アパッチ族』『首都喪失』 小松左京の構想力はすごい。読み終えて、連想した『星を継ぐもの』J・P・ホーガン(創元SF文庫)を読みたくなった。

『平安人の心で「源氏物語」を読む』山本淳子(朝日選書2014年1刷、2021年第8刷)
昨年(2022年)『源氏物語』(角田光代現代語訳)を読む前にこの本を読みたかった。実に読みやすい「源氏物語」解説本。源氏物語の関連本はこれからも読みたい。

『寒い国のラーゲリで父は死んだ』山本顕一(バジリコ2022年)
**最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである。** 252頁 山本幡男氏が子ども達に宛てた遺書の一節。長男、山本顕一氏が父親との和解に至る過程を綴る。

『司馬遼太郎の時代 歴史と大衆教養主義』福間良明(中公新書2022年)
司馬遼太郎作品はどのような過程を経て広く受容されたのか。「明治の明るさ」は「暗い昭和」を照らし出すために描かれた。これ、著者のドーダ的指摘。ドータって何?(過去ログ

『夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組⑥』今村翔吾(祥伝社文庫2018年第1刷、2022年第7刷)
『狐花火 羽州ぼろ鳶組⑦』今村翔吾(祥伝社文庫2018年)
羽州ぼろ鳶組シリーズと本所おけら長屋シリーズ(畑山健二)には最後までついて行く。時代小説はあまり読まないけれど、両シリーズはとにかくおもしろい。ふたりの尽きることのないアイディアに拍手!