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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「近代科学の誕生」H・バターフィールド

2020-09-06 | g ぼくはこんな本を読んできた〇

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 今は講談社学術文庫を読むことは稀だが、20代のころはよく読んでいた。この『近代科学の誕生(上)(下)』も20代で読んでいる。

この本にはしおりを挿む代わりに隅を三角に折り曲げたページがある。これはドッグイヤー(犬の耳)と呼ばれ、どこまで読んだのか分かるようにするもの。いまではしなくなったが、当時はよくしていた。ところどころに書き込みもしてある。

例によってカバー裏面の本書紹介文(下巻)から引く。

**本書は、今日における名著のひとつに数えられてしかるべきものであろう。一般歴史における科学史の意義を明らかにし、科学史の中での「科学革命」の本質を解明した点で、この著者が果たした役割はきわめて大きい。人類史上、近代科学の誕生こそはすべての社会的・政治的変革にもまして「革命」的な重大事件であり、この「科学革命」こそは科学史的考察の原点であるという認識は主として本書に由来するのである。**


 

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「恋愛論」亀井勝一郎

2020-09-06 | g ぼくはこんな本を読んできた〇

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 『恋愛論』亀井勝一郎(角川文庫1973年改版12版)。ぼくはこの本を1973年の12月に読んでいる。亀井勝一郎は代表作の『愛の無常について』(過去ログ)で知られる文芸評論家。

**恋愛は言葉の機能を、はじめてわれわれに教えてくれるであろう。という意味は、言葉がどれほど微妙で神秘的なものであるかを、恋愛によって自覚せしめられるからである。愛することによって、人はまず言葉を失う。(中略)言いあらわされた言葉は、心の中で思っていることの何十分の一にすぎないことを知らされる。言葉は不自由なものだということを。**「言葉の微妙について」(21頁)

このようなことを自覚する恋愛、なんだか観念的なような気がするけれど・・・。

亀井勝一郎の文庫ではこの他に『大和古寺風物詩』(新潮文庫2002年76刷)が書棚にある。



**いざ大和へ行って古仏に接すると、美術の対象として詳に観察しようという慾など消えてしまって、ただ黙ってその前に礼拝してしまう。**(59頁)

**かくも無数の仏像を祀って、幾千万の人間が祈って、更にまた苦しんで行く。仏さまの数が多いだけ、それだけ人間の苦しみも多かったのであろう。一軀の像、一基の塔、その礎にはすべて人間の悲痛が白骨と化して埋れているのであろう。久しい歳月を経た後、大和古寺を巡り、結構な美術品であるなどと見物して歩いているのは実に呑気なことである。**(70頁)

このような文章から亀井勝一郎が仏像が美術品ではなく信仰の対象だと信じていたことが分かる。 


『大和古寺風物詩』は2020.03.10の記事。



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