透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

夏目漱石の作品

2020-09-27 | H ぼくはこんな本を読んできた

 夏目漱石の作品は手元に文庫で23冊ある。その中から1冊を挙げるなら、私は『吾輩は猫である』だ。


『吾輩は猫である』夏目漱石(角川文庫 左:1966年18版 右:2016年改版121版)

猫という第三の眼を設定して漱石自身をほかの友人たちと同列に置き、客観的に自己観察している点がこの小説、漱石のすごいところ。

この作品は漱石38歳の時のデビュー作。ストーリーらしいストーリーがあるわけではなく、苦沙弥先生の自宅を訪ねてくる友人たち(迷亭、寒月、東風、独仙ら)を猫が観察し、彼らが交わすさまざまな会話を論評するという趣向。彼らの会話にはユーモアがあるし、単なる与太話ではもちろんない。この作品の魅力は彼ら知識人の会話そのもの。


 


安部公房の作品

2020-09-27 | H ぼくはこんな本を読んできた

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 「ぼくはこんな本を読んできた」 最後の3稿は安部公房、夏目漱石、北 杜夫、この三人の作家の作品にしようと少し前から決めていた。手元にある文庫本の少ない作家から順番に掲載したい。

安部公房の作品は単行本で何冊か、文庫本では19冊あるが、その中からあえて3冊、3作品選ぶとすれば、次の作品だ。
『砂の女』(新潮文庫1981年発行)
『方舟さくら丸』(1990年発行)
『箱男』(新潮文庫1998年31刷)

更にこの中の1作品となるとやはり『砂の女』かな。例によってこの文庫のカバー裏面の紹介文から引く。**(前略)ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに人間存在の象徴的姿を追求した書下ろし長編。20数カ国語に翻訳された名作。**

何作も文庫化されていて、よく読んだ作家は他に大江健三郎や川端康成、三島由紀夫、松本清張、司馬遼太郎、藤沢周平、吉村 昭、南木佳士、村上春樹・・・、と少なくないが、この先再読するとすれば誰だろうと考えた結果、先の三人を残したという次第。


『方舟さくら丸』:核時代の方舟に乗ることができる者は、誰と誰なのか? 現代文学の金字塔。
『箱男』:読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。

カバー裏面の作品紹介文より。

 


旧豊科町のカラー蓋

2020-09-27 | B 地面の蓋っておもしろい


安曇野市豊科吉野にて 撮影日2020.09.26

 マンホール蓋を撮り歩く趣味の人は多く、全国的に撮り尽くされている、と思う。大きさが決まっている円形の面、という制約がある中で、何をどのように表現するか・・・。デザイナーがあれこれ考えて創作した作品を観るのは楽しい。

私はマンホール蓋を撮る際、背景に火の見櫓を入れるという条件を課している。この様にしてニッチな世界に入り込んでいる。既に豊科のマンホール蓋もこのような条件で撮っている(過去ログ)が、カラー蓋はまだ撮っていなかったようだ。

このカラー蓋は今月(9月)30日から始まる「火の見櫓のある風景 スケッチ展」の会場、BELL WOOD COFFEE LABのすぐ近くで見つけた。

長野県内の各自治体で設置しているマンホール蓋のデザインのモチーフについて調べたことがあるが、植物と動物で56%、5割を超えている。山や川などの自然を加えると67.3%、7割近くになっている。豊科のマンホール蓋は犀川白鳥湖の白鳥、バックは常念岳。やはりこの中に入る。



BELL WOOD COFFEE LABの近くにこの火の見櫓が立っているが、残念ながらこの火の見櫓を背景に入れてカラー蓋を撮ることはできなかった。カラー蓋の場合には上記の条件は解除してはいるが。

安曇野市では合併前の町村のマンホール蓋をそのまま使っているが、新しいマンホール蓋のデザインを公募し、採用案を決めている。徐々に新しいデザインの統一蓋に替えていくことになるだろう。