透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

日本を初めて測った愚直の人

2019-03-26 | A 読書日記

 日本史リブレット 人 全100巻 山川出版社

1冊で歴史上の人物をふたり取り上げている巻があり、100巻で130人程になる。ちなみに第1巻は「卑弥呼と台与」、台与って誰? 卑弥呼の後を継いだ娘、だっけ? 第100巻は「東条秀樹」。

23日に買い求めていたこのシリーズ第57巻の「伊能忠敬 日本をはじめて測った愚直の人」星埜由尚を読み終えた。中身はなかなか充実していた。カバー折り返しの伊能忠敬紹介文から一部引用する。**五〇歳を過ぎてから地球一周分を歩き、はじめて国土を実測して日本地図をつくった。中高年の星、ウォーキングの元祖、史上最大の旅行家でもある。(中略)まじめに実直に根気よく測量し、地図をつくった努力の人である。**

49歳で家督を長男に譲った後、平々凡々な隠居生活をしていたら、教科書に載ることもなく、もちろんたった130人程の歴史上の人物のひとりとして、このリブレット(小冊子)に収録されることもなかっただろう。

実は先日読んだ井上ひさしさんの『四千万歩の男 忠敬の生き方』講談社文庫で?と思ったことがあった。それは歩幅のこと。**忠敬の場合、1歩90センチとしました。小柄な人でしたし、刀も差しています。私たちの1歩は普通1メートルぐらいですが江戸時代の人はみんな小さかった。**(94頁)とあるが、(注:本文中これらの値は漢数字で表記されている)この歩幅は大きすぎるのではないか。

リブレットには**忠敬の歩幅は69.2センチであった。**(45頁)とある。(注:本文中やはり漢数字で表記されている)この値なら納得できる。井上さんは自分で歩いて歩幅を確認しなかったのかも知れない。

**「人生二山」を実践した忠敬は、中高年齢層の人びとを勇気づける存在である。忠敬のように、定年後の生活を有意義なものにしたいと思っている人びとは多いだろう。**(1頁)


伊能忠敬記念館