透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

学都を標榜するなら・・・

2011-12-27 | A 読書日記



 今月22日にオープンした松本駅前の丸善で今日(26日)『週刊ブックレビュー 20周年記念ブックガイド』NHKサービスセンター を買い求めました。店員にこの本を探してもらうと、これが最後の1冊ですと言われました。何冊あったのか分かりませんが、帯に「読書人必携」とあるこの本が売り切れとなって、うれしかったです。

丸善は松本に出店するに際し、マーケティングリサーチをもちろんしたと思います。松本20数万の市民でこの書店を支えることができないと、学都を標榜している都市として面目ないなどと余計な心配をしたりもします。

地元紙の報道によると、丸善書店の社長は**書店業界は非常に厳しく売り上げは下げ止まらないが、歴史と文化と学問の街である松本への出店を決めた。**と開店披露の会の席上で語ったそうです(信濃毎日新聞12月23日付朝刊)。

かつて長野県は教育県だといわれていました。長野県民は教育熱心だったということですが、このことを示す具体的な事例として、開智学校の建設に関るエピソードを挙げたいと思います。それは明治初期に開校した開智学校の建設費約1万1千円の約7割を市民(松本町民)の寄付で賄ったということです。 松本の人たちのこの学校に託した想い、教育に寄せる期待と熱意をうかがい知ることができます。


明治4年、筑摩県に赴任した永山盛輝は教育熱心で教育環境の充実に尽力して、日本一の就学率を達成したそうです。どうやらこの辺りに長野県民が教育熱心だといわれるようになった「源」がありそうです。

開智学校の大工棟梁として指名された立石清重は東京方面へ徒歩!で出かけて西洋館を見て回ったそうです。それも少なくとも2回(『日本の近代建築』藤森照信/岩波新書による)。市民の期待に応えようと立石清重も一所懸命だったのでしょう。

このような土地柄、読書欲旺盛な市民がこの大型書店に足しげく通って本を買い求めることを願うばかりです。でもその一方で既存の中小の書店のことが心配になります。創業が明治23年という松本の老舗書店の鶴林堂も数年前に閉店しましたから・・・。



これからは、このような買い方をやめようと思います。 丸善の地階の専門書のコーナーも随分充実していて、建築のコーナーは書棚が48スパン! 1スパン75cmとして、36mにもなります。もちろんこの本もありました。