古今集第百十番しるしなき(書) 2011-01-16 06:12:02 | 書 しるしなき音(ね)をもなくかな鶯の 今年のみ散る花ならなくに 凡河内躬恒 鳴いてもどうにもならなく仕方がないのによくもこんなに鳴く鶯よ。花の散るのは今年だけじゃない。来年も再来年藻繰り返されることを知らないのだろう。
大楠公墓所(写真) 2011-01-15 06:10:24 | 写真 感銘を受けてこの地に黄門が 大楠公を称ふる墓石 樋田哲仙 楠木正成の忠節は戦前の学校教育に登場し、我々は軍国少年に育った。湊川神社には墓所がある。珍しく神社に墓所とはいささか、不可思議にも映る。楼門から少し国に動くだけだが、正月の初詣で賑わう本殿の客とは違い、参拝する人は激減する。元禄年間黄門は楠公の話に感銘して「嗚呼忠節楠子之墓」と記した。
うさぎ跳び(水墨画) 2011-01-14 05:11:25 | 水墨画 準備とて足を揃えて腰据えて 兎に跳ねるスポーツ選手 樋田哲仙 準備運動の一つにうさぎ跳びがある。結構きつくてすぐに息が上がり若くないと適さない。野球、陸上などの選手が本番に備えて行っているのをテレビでも見かける。骨が柔軟でないと損傷を起こしかねない。かって中年の頃、運動不足を補うために家の廊下で、うさぎ跳びを1週間ほど続けたら、ヘルニアにかかり入院して欠勤せざるを得なかった経験がある。運動はよいが、年相応にするべきである。
古今集第百九番木伝へに(書) 2011-01-13 06:26:08 | 書 木伝へにおのが羽風に散る花を 誰におほせてここら鳴くらむ 素性法師 鶯が枝から枝へ飛び回るので、羽風が起きて花が散ってしまうのだ。その責めを誰に負わせるつもりであんなに鳴いているのだろう。
正月の湊川神社(写真) 2011-01-12 05:52:07 | 写真 正成の心ぞ今も湊川 あまたの人ら祈り敬ふ 樋田哲仙 楠木正成は南北朝時代の武将。河内の土豪で後醍醐天皇に呼応して挙兵。千早城に篭城して幕府軍と奮戦。河内の国司や守護となる。九州から東上した足利尊氏の大軍と神戸湊川での戦いで憤死。忠節に生きた正成の魂は美化され、戦前小学校教科書にも千早城の知略、奇策の戦いぶりが載る。現在でも河内では正成を軍神と崇め親しむ人は多い。
ウサギは逃げの一途(水墨画) 2011-01-11 06:01:14 | 水墨画 過ぎるほどなよなよとして世を生きる 兎の足は逃げるの一途 樋田哲仙 本年は卯年である。ウサギは後脚は跳躍の象徴として見られがちだが、前向きに立ち向かうものではない。なんの攻撃の武器でもなく、自然界を生き抜くためには逃亡のためのなにものでもない。肉食獣や猛禽類の外敵から逃がれ、潅木や草むらの中で生息するために足を発達させたと考えられる。そんな足を今年は兎のように跳ねる年にしたいとは。
古今集第百八番花の散る(書) 2011-01-10 06:53:43 | 書 花の散ることやわびしき春霞 たつたの山のうぐひすの声 藤原後陰 花の散るのが心細いのだろうか。春霞のたつ竜田の山の鶯の鳴いているのは。春が立つのと竜田の山のたつのとをかけて平仮名にしている。
生田神社おみくじ風景(写真) 2011-01-09 06:14:56 | 写真 一年を吉か凶かとおみくじに 淡き夢見る初詣かな 樋田哲仙 元日は大荒れの天気で一日ずらして、神戸市生田神社へ初詣に出かけた。楼門をくぐると特設おみくじ売り場が背中合わせに2列に並び、初々しい巫女が多数いる正月風景である。木筒の穴から振り出した番号札にあわせたおみくじを授かり、吉か凶かを占う。誰もが開けて見るまでの一瞬の楽しみである。その後杉飾りに結びつける。神仏に祈願を込めるおみくじは日本だけのものだろうか。
困まり者の兎耳(水墨画) 2011-01-08 06:35:52 | 水墨画 誰よりも早く聞き出し得意げの 兎耳には性別のなし 樋田哲仙 人の隠し事をいち早く聞きだし、得意気に言いふらす人はどこにでもいる。男とも女とも限らない。尻軽く行動して情報を仕入れるのだが、黙っていられない性質ですぐ他人に話す。困ったことに大勢の人に伝えるから放送局となる。こんな人には逆に利用することも出来る。特種を内緒だよといってひそひそと話せば内緒ごとにならず忽ちのうちに全員に伝わっている。ひょうきんで憎めない特徴があり、極秘の話は心得ておけば失敗はない。
古今集第百七番散る花の(書) 2011-01-07 06:10:00 | 書 散る花のなくにしとまるものならば われ鶯におとらましやは 典侍洽子朝臣 花を惜しんで鶯が鳴いているが、それでことで花が散らないでくれるなら、私だって鶯に負けないように泣くのだが。
生田神社への道(写真) 2011-01-06 06:44:22 | 写真 名の高き神への道を知らざれば 人の流れに沿ひて進めり 樋田哲仙 神戸市生田神社はバスでは訪ねているが、電車では初めて。阪神三宮駅から方角と距離さえ知っておれは、人に尋ねる必要はない。有名社寺の三ヶ日は参拝客が多く、同一方向へ歩く人の流れが出来ていて分かる。近づくにつれ破魔矢や縁起物を所持する人の帰る姿も出始める。歩道には露天商も並び始めて神社はもう近い。
割を食うウサギ(水墨画) 2011-01-05 05:12:55 | 水墨画 ワニザメにカメにカエルに割を食ふ ウサギよもっとしっかり生きろ 樋田哲仙 神話や童話に登場するウサギは気の毒なほど貧乏くじを引いている。因幡の白兎は島へ渡ろうと悪知恵を抱いたウサギが渡りきる直前にばれて丸裸にされる。運よく通りかかった大黒様に助けられる話。幼い子どもでも知っているウサギとカメの童話でも、足自慢のウサギがカメに敗れる。油断は大敵となる戒めの話。確かな証拠の資料はないが、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」のウサギもカエルとの相撲に投げ飛ばされるなどどれもウサギは失敗が多い。
古今集第百六番吹く風を(書) 2011-01-04 06:23:23 | 書 吹く風をなきてうらみよ鶯は 我やは花に手だにふれたる 詠み人知らず 花を吹き散らす風にそのきれいな鳴き(泣き)声で恨み言を言いなさい。鶯よ、私は花に手さ触れていないのだから。変な誤解はしないで欲しい。 我やはの「やは」は反語で触れていないとなる。
中国の獅子舞(写真) 2011-01-03 07:54:30 | 写真 新年の多数の客に中国の 見慣れぬ獅子が寿ぎて舞ふ 樋田哲仙 大晦日から元日にかけて日本列島が大荒れの天気に見舞われた。初詣どころではない。私の年齢ではおのずと自宅に閉居するのが賢明となる。そこで近くのスーパーのイベント広場に出かけて、多彩な計画の中の元旦は中国の獅子舞い、早速楽しんできた。日本とは全然違う獅子で、まるで縫ぐるみの中の二人が舞う。動きも単調で芸が少ない。それでも客は人だかりしてしばらく楽しんでいた。
新春のウサギ(水墨画) 2011-01-02 05:50:44 | 水墨画 しっかりとこの世を長く生きぬけど さらに兎のごとく跳ねたし 樋田哲仙 今年の干支は卯歳である。生まれ年と同じ十二支の年を迎えた男女を年男年女と呼んでいる。そこで12年ごとに巡ってくることになる。生まれたばかりの年は呼ばない。誕生日後の満年齢が12の倍数となる。すなわち12,24,36・・・・歳の年齢となる。総務省の人工推計によると今年は全国で1008万人弱(男490万、女517万)となっている。