おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

マンション管理士試験合格発表

2021-01-15 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

 

 

受験申込者数     14,486名  (13,961名)

受 験 者 数     12,198名  (12,021名)

受 験 率           84.2%  (86.1%)

合 格 者 数         972名  (991名)

合 格 率            8.0%  (8.2%)

( )内の数値 ⇒ 令和元年度の実績

合格最低点       50問中 36問以上正解

(試験の一部免除者は45問中31問以上正解)

 

合格者

平均年齢 48.4 歳

最高年齢   85 

 

というような結果でした (詳細は 試験機関から発表になっています)

この試験の特徴的なことは やはり 平均年齢の高さ ということでしょうか

 

あらためて 問題を検討しての感想です
あくまで自身の思いですが 合格の決め手は特に と問われたなら
≪区分所有法の徹底理解に努めること 
と 
参考にしてくれと公が示しているところの標準管理規約
に 素直に 何度も 接すること≫
ではないか 
と 答えさせていただいています

 

最高年齢 85歳の方 ということには “おめでとうございます” を 
100個並べさせていただきたいような思いがします

自身も 〔学ぶ〕 ということが好きな人間なので 励みのお手本に
させていただきたく 勝手ながらですが 感謝の想いも募ります

 

   hatakeyamaマンション管理士事務所  


普通決議 の 基本的な ? 姿のこと

2021-01-14 | マンション〔機関アレコレ〕

 

 

 

マンション管理組合総会において 特別決議事項は すべて集会(総会)の決議で決めなければ

なりませんから 規約によっても集会の決議以外の方法で決めることは許されていません

普通決議事項については 規約で集会の決議以外での方法も採れることがあります

 

 

さて

区分所有法は 決議について ≪区分所有者および議決権の各過半数で決する≫としていて

出席者の数と決議要件を関連づけていません

標準管理規約では ≪出席組合員の議決権の過半数で決する≫とし 出席者と関連させています
し 定足数を定めて 区分所有者の一定割合の意思が決議に反映されることを確保しています
そのようにして 意思決定が円滑になるよう配慮されています

 


区分所有法

(議事)

第三十九条 

集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、

区分所有者及び議決権の各過半数で決する。

 

標準管理規約<単棟>

(総会の会議及び議事)

第47条

総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有す

る組合員が出席しなければならない。

2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。


 

 

全国のマンション管理組合の組合員の平均人数は 50名というデータがあります

標準管理規約47条2項によると

議決権総数が 50(組合員総数50 議決権は各組合員とも同一割合)の場合

最低限度 出席組合員25で集会(総会)成立

出席者の過半数である13の賛成で 普通決議成立

 

議案は執行部から提出され 執行部内での意思は 通常は同一 と考えれますので

役員5名だとすると 外8名の議案納得で 普通決議成立

というような情況になりましょう 

外8名のうち1名だけ総会に姿を現したが 6名は委任状 1名が議決権行使書提出 

というようなことも あり得ます

 

多くの管理組合では そのようなことなのかな ? とも思えたりするので 実は コロナ下での

総会に悩むというニュースも 実態は そうでもないだろうかな? と 複雑な思いをさせられた

りするのです

 

皆さんのマンションでは いかが ですか ?

 

 

自身としては 活発に議論する総会を 

可能な限り 

いつだって 熱望 しています が・・・

 

                                  hatakeyamaマンション管理士事務所  

 

 


判断の文

2021-01-13 | ◆ マンション管理業務  《 全般 》

 

 

『要するに この工事には 

出席組合員の議決権の過半数

それとも

組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上 ?』

 

 

理由付けの無い 単なる主張だけでは 相手方の賛成を得るのは無理と思われます

その理由付けの説明方法にしても ナカナカたいへんで 工夫が必要となる

 

Aのことを知りたくて相談に見えた方に

より多くAのことを知って欲しいとの思いから

Bのこと Cのこと Dのことまで できるだけタクサン伝えようとしてしまう

そうした欠点を 極く近しい助力者から告げられ おおいに反省したことがあった

 

力も無いのに 必要を超える説明に没頭するスタイルになってしまっている・・・ 

疲弊感さえも覚えながら 

直接には訊かれていないことまで説明してしまうのは どちらかというと余計なお世話の 

強引とも言える

オセッカイ そのものとなってしまうだろう

 

プロになってからも長い間 そのような不味い業務スタイルを続けていたりした が

そういったことの問題に強く気付かされたそのときから注意するようになり 説明業務を終えた

ときの疲弊の度合いも そうとうに減じ得るようになった

 

 

ということで 説明にしても 情報の量が多ければ多いほどよい とは限らない

ということを理解できるようになったのは 40歳代後半を過ぎたあたりから だったように思える

それまでは たしかに 説明の量も時間も多すぎる傾向があった

それこそ たいした力量など持ち合わせてもいないのに・・・(よりよいアドヴァイスをめざし努めている
つもりなのだが・・)

 

自身の力量をキチンと量りながら 相手の要求にスッキリと沿う まず必要最小限の相談に なるよう要
点を捉えきり〔そうできるなら 相談者の方にとっても効率のよい時間の使い方になる〕 まずはシンプル
答えることを

モットーにしている

 

明確な さらなる説明要望には 自身の力量をもって素直に事に当たらせていただき 相応しい対価を
いただかせてもらうことを提案お願いし
より公正な 報酬をいただかせてもらう

 

こういったことをも反復自省しながら 業務を担当させていただいている 現状です

 

 

といいながらも

数日前にも サービス?の多すぎる説明量では かえって 相談者の方にはありがた迷惑な

こともあることを痛感させられた(未だに ときに 暴走ぎみになってしまうことがあって・・・)

 

 

「修理 と 改良 と 改修のこと」

「普通決議 と 特別決議 のこと」

「軽微変更 と 変更 のこと」

「変更 と 処分 のこと」


(総会の会議及び議事)

第47条

2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。

3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合

員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。

一 規約の制定、変更又は廃止

二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな

いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づ

く認定を受けた建物の耐震改修を除く。)


※ 旧区分所有法には 〔改良〕 という文言もありました

   修繕とは いわば 元どおりにすること
   変更とは 元の形状または効用を変えること
   改良とは 修繕を超えてより良く変えること  だが 変更が著しいものではないこと
   というような理解もなされそうです
..............................................................................................................................................................

 

 

 

普通決議で済むのか 特別決議なのかは たしかに 重要な区別

 

《形状又は効用の著しい変更を伴わない変更》 とは ?

 

標準管理規約に沿っている規約( あくまで 標準管理規約 は 参考 であり
モデル[ひな形] ではありませんが) を持っている管理組合である として

まず 

「変更」を超え「処分」のレベルにあるのなら 特別決議では足らず組合員全員合意

例えば 共用部を専有部に変えてしまうなどは 共用部の廃止ということなので 変

更を超え 処分と捉えなければならない

マンション建物の屋上にさらに増築して専有部分を設けることは 屋上空間という共
用部を廃止し専有部を設けてしまうことなので 組合員全員合意が必要となると解釈
できるだろう

 

共用部である集会室を 集会以外の目的でも使うこととし 第三者に有料で貸し出す
ことも可とするのは どうだろう ?

 

共用部分の形状の変更とは 外観や構造を変えること

共用部分の効用の変更とは 機能や用途を変えること

なので 第三者に有料で貸し出すことは 「変更」となるだろう

それは 「著しい変更」か そうではないのか ?

前者なら 特別決議 そうでなければ 普通決議

著しく とは ?

学者さんらの専門書には 著しく とは 「確定的に」ということだ などと説明があったりするが

要は 総合的に判断するしかない という類のことわりを入れた説明が まず 具えてある

 

屋上の一部を 携帯電話基地局として貸し出すことの要件は ?

平成20年代の裁判で 地裁では 全員合意が必要 との判断がなされたが 高裁では 総会

決議でオーケー

しかも 普通決議

同一事件でも これほどに判断に文〔あや〕がある

 

事を進めるのに どのような要件が必要とされるのか・・・

それこそ まず総合的に判断されるので 一応の規準の説明をさせていただくが ケッシテ

“ その決議方法で間違いありません ” などとは答えられない というのが実際

でも 『あなた自身の考えは』と問われると

率直に 自身の思いを伝えさせていただきます (モチロン プロとしての自己責任において)

 


古くからの規約

2021-01-11 | マンション〔規 約 類〕

 

いまさらながら ですが

現行の標準管理規約では


(総会の会議及び議事)

第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有す

る組合員が出席しなければならない。

2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。

3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合

員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。

一 規約の制定、変更又は廃止

二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな

いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づ

く認定を受けた建物の耐震改修を除く。)


となっているのですが

青字の部分あたりが 1983(昭和58)年改正法に準拠していた1997(平成9)年の
<中高層共同住宅標準管理規約←住宅宅地審議会答申>にならって 一般的には特別多数が必要

と解釈されていた頃の条項そのままの規約であったりします

 

ときに 「著しく多額の費用を要するものの共用部分の変更」は4分の3以上の特別多数決が必要とさ
れるような文言が そのまま残っているものがあったりします

 

現行のものは 大修繕に多額の費用が必要であっても 特別多数までは必要とされていません
つまり 大修繕における費用の多寡は問われていません

 

以前のままの<中高層共同住宅標準管理規約>の頃の条項であっても  平成15年施行法の

意図からすると普通決議での大修繕が可能とされるとの解釈もとり得るとする考えもあるよう

ですが

法改正の経緯を知ってはいるが 大修繕にはいずれにしても特別決議が必要としようと考え 

当時の執行部は あえて そのまま特別多数が必要となる条文文言のままにして その後も

そのままの組合もあるかもしれないですし 

そのような意識的な放置?

なのか 

事情を知らないことによる放置 ? 

なのか

いかにも曖昧などちらともとれるようなことになりそうなので 【大修繕には費用との関係で

特別決議が必須】

とされているような場合は 改めて 総会で確認すべきと考えます

建物の維持保全のための定期的な修繕であっても特別決議を要するとなると 円滑な実施

が困難となってしまうことにもなりかねませんので (区分所有法18条1項・39条1項) 

 

これら関係部分だけでも シッカリ 確認してみてください

多額の管理組合資産のことですし イザコザがあってはならない とてもタイセツなことです 

 

 

平成15年施行≪改正区分所有法≫ 以前からのマンション(築 約 20年以上 となる)におい

ては特に 

現行の標準管理規約 と 自らの規約

に どれほどの差異があるか 確認の機会を持つべきと思われます

単棟型 複合用途型(店舗等を含むもの) 団地型 にかかわらず です

大修繕関係にかかわらず です

 

 

マンションにはモチロン適用されるものである区分所有法には

昭和37年制定

昭和58年に大幅な改正

平成14年12月公布 同15年6月施行

などの歴史があります

 

                      hatakeyamaマンション管理士事務所  


強行規定が控えている

2021-01-09 | マンション〔規 約 類〕

 

 

規約は 

“所有権者であるマンション住人を主な対象として自治規範として設けるのだから 自由に作成できるはず”

という盾を持って

干渉を一切排除しながら改正等を終え得てしまう というわけにはいかないこともあります

 

区分所有法をはじめとして 法に反する内容を入れ込むことは できません

 

硬いことをいうよう ですが 法で許される範囲内の決め事であることを求められます

 

 

 

枝番号を含めて [建物の区分所有等に関する法律]には たしか90個の条文があるはず ですが 

その 約半分は 自由裁量の幅を認め得ない ≪強行規定≫ です

 

条文のなかの

・「規約で別段の定めをすることを妨げない」

・「規約で その過半数まで減ずることができる」

・「規約で伸縮することができる」

・「規約で伸長することができる」

・「規約に別段の定めがあるときは この限りでない」

・「規約に別段の定めがない限り」

・「規約に特別の定めがあるときは」

・「規約に別段の定めがないときは」

・「規約若しくは集会の決議によって」

・「規約又は集会の決議によって禁止されていないときに限り」

・「規約に別段の定めがある場合を除いて」

というような類の言葉にまどわされないかのように

 

【 強 行 規 定 】 として

 

次のような条文らが ドッシリ と 控えています

1条 建物の区分所有

2条 定義

3条 区分所有者の団体

6条 区分所有者の権利義務等

7条 先取特権

8条 特定承継人の責任

9条 建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定

10条 区分所有権売渡請求権

12条 共用部分の共有関係

13条 共用部分の使用

15条 共用部分の持分の処分

21条 共用部分に関する規定の準用

23条 分離処分の無効の主張の制限

24条 民法第255条の適用除外

30条 規約事項

31条 規約の設定 変更及び廃止

32条 公正証書による規約の設定

33条 規約の保管及び閲覧

36条 招集手続の省略

40条 議決権行使者の指定

42条 議事録

43条 事務の報告

44条 占有者の意見陳述権

45条 書面又は電磁的方法による決議

46条 規約及び集会の決議の効力

47条 成立等(管理組合法人)

48条 名称

48条の二 財産目録及び区分所有者名簿

51条 監事の代表権

54条 特定承継人の責任

55条 解散

57条 共同の利益に反する行為の停止等の請求

58条 使用禁止の請求

59条 区分所有権の競売の請求

60条 占有者に対する引渡し請求

62条 建替え決議

63条 区分所有権等の売渡し請求等

64条 建替えに関する合意

65条 団地建物所有者の団体

66条 建物の区分所有に関する規定の準用

67条 団地共用部分

68条 規約の設定の特例

69条 団地内の建物の建替え承認決議

70条 団地内の建物の一括建替え決議

71条・72条 罰則

 

 

 

 

必ずしも【標準管理規約】のとおりでなくとも良いことはそのとおりなのですが

しかし ときに エッと思わずにいられない というか 曖昧な なんともグレーな

内容のものが何度かの改正を潜りぬけて潜んでいたりするので 役員の交代の都度 是非 学習を兼ね 
再度の点検をしてみることもタイセツ と 思われます(新役員の 最初の業務として 恒例の行事とする)

 

 

 

マンションにお住みの 管業・マン管受験者さんなどは特に ジックリと自身のマンションの規約に向合って
みることも いい経験になると思われます

意味不明な というか 一義的な理解がなされなくて 混乱の要因になりそうな規定が雑じり込んでいたりし
ていませんか ?

 

法人化後となっていてさえ・・・にもかかわらず 

監事を最初の役員会で決める などという決め事になっていたりして・・いないでしょうね ?

 

 

 

自主管理で 長い間 少数の特定人物に任せっぱなし というような組織では特に 規約が
あるのかどうかも

定かでない(らしきものを拝見しても それが成り立った経緯がハッキリしない というような
情況も)ままであったりで・・・

 

規約に関する サマザマな情況が サマザマな事情から起きてしまっていて・・・・
まずは とにかく 当然の一歩目ですが 事情を伺うために通うことからの日々 です

 

はたけやまとくお事 務 所


複数共有者の 複数所有

2021-01-07 | マンション〔共用部分・持分・設備・敷地〕

 

 

甲マンションには 

100戸 専有部があります

 

Cさん Dさん Eさん Fさん Gさん5人の共有名義の専有部が 全部で 98

Aさん Bさん は 各々 1 戸 の専有部所有者 です

 

C・D・E・F・Gさんたちは 階段の改修・エレベーターの増設などの大規模な工事を検討し 議案として

次回総会に提出の予定です

Aさん・Bさん の二人は 現状のままが好ましく 資産価値増加を目論んでの工事までは必要ないと
考えています

 

 

区分所有法の次の条文どおりの規約を持っているとして


(共用部分の持分の割合)

第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

 

(議決権)

第三十八条 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。

 

(共用部分の変更)

第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者
及び議決権の四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、
規約でその過半数まで減ずることができる


(議決権行使者の指定)

第四十条 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなけ
ればならない。


 

38条に関して 別段の定めはない として

 

議案は 総会を通過できるでしょうか ?

オレンジ色部 のただし書きの有無で 結果は変わり得るでしょうか ?

 

 

現状

C・D・E・F・Gさんたちの頭数としては 5人 ですが区分所有者としては 一人 なので 

一人 対 二人 

この議案はとおりません

議決権数では圧倒的優位 ですし

頭数の延べ人数であるなら 5×98=490 との解釈も可では と思いたくもなる かもしれません?

人数ということではなく あくまで 単位は 区分所有者 

 

人数ではなく 人格(5人で構成される一個の人格を持つ一人の区分所有者)と捉えると

少々 理解できそうですが・・・ いかがでしょう

専有部をいくつ持とうが 専有部権利保有単位のための人格の個数としては 1

 

「複数の共有者が 複数の専有部分を持っている場合 にも 区分所有者としては 1 となる」

との判例があります                       <神戸地判平成13年・1・31>

 

 

ここで 次の 考えが フッと浮かびます

区分所有物管理意思を操作できる 人格 こそが 区分所有者 と考えると・・・
構成員の組み合わせをアレコレ操作すれば 区分所有者の造形が可能では ??
(つまり 専有部毎の意思決定メンバーの組み合わせを自由に組みかえられるような一蓮托生メンバー
による 売却のための資産価値増加だけの目的の購入組合員などの団結力ならば そのような方策を
も 採るかもしれません・・・そのような行動をどのように評価するかは別論として)

 

 

≪あくまで 実務上での事例をそうとうに脚色した 学習のための一例ですが
  理論的に オカシイ ところなどがありましたなら どうぞ ご教示をお願い申しあげます
  もうしわけありませんが ヨロシク お願いいたします≫

 

                                                                     はたけやまとくお 事 務 所


理事長の行為を訴えた案件の一例

2021-01-06 | マンション〔法 令・判 例〕

 

 

・・・管理組合に代わって
  個々の組合員が 理事長に不法行為による損害賠償を請求できるのか ?・・・

 

 

完成時に一括して支払えばよいとされていた外壁などの工事代金を 理事長が 約束より早めに
支払ったため損害が生じてしまった として 契約どおりの支払時までに運用されて得られたはず
の 約200万円を損害賠償請求する事件が東京地裁でありました〔平成 4年7月〕

 

『裁判で勝訴した時は 得られたものを直ちに管理組合に引き渡す』 として 一人の組合員が 共用
部分の保存行為は単独で行動できるはずだから と 裁判を起こしたのでした


理事長に対する
不法(違法があるとして)行為による損害賠償請求
(債務不履行による損害賠償請求としてではなく)

 

 

マンションの管理運営上の大事な論点のいくつかが この裁判から理解できそうなので 管理運営上
の重要な参考の一例として 説明させていただくことがあります

説明させた頂く概略は 以下のようなこと

・一人で裁判を起こすためのの根拠とされた <保存行為> と理解されるか?

・自身の益のためではなく 管理組合のためにする意思でも この案件の単独の提訴は許されないのか ?

・管理組合の資金の所有権は 誰にあるのか?

・各区分所有者は 徴収された管理費等に対し どのような権利を持っているのか

(仮に 管理組合が法人化されているならば どうか) ?

・・・などなど ですが

 

: 共用部分の保存行為とは 共用部分そのものの現状を維持することと理解すべきで
   
共用部分の工事費の支払に関しての損害の訴求を保存行為と捉えることはできない

: この件の賠償請求権は団体の全構成員に総有的に帰属するにすぎないので 訴求する
  ことによって得られるものを直ぐに管理組合に引き渡しての損害補填の目的であった
  としても 構成員単独での賠償請求は許されない

: 管理組合が徴収する管理費等(管理費・修繕積立金・一時負担金等)の金銭債権
   
管理組合に帰属し 管理組合の固有資産となる
  債権と同様に 徴収された金銭そのものについても 同様の理解がなされる

  そうであるので 個々の組合員は 管理費等の金銭債権金銭の権利者ではない
  法人化していない管理組合は 一般的には 「権利能力なき社団」として組合員全員で
 
その債権金銭を総有(各組合員が持分権を有しない)しているので分割請求はできない

 ≪法人化済み組合では 管理組合法人に債権・金銭が帰属する≫

 

: 他の判例では[総員の同意で 総有の廃止などの処分があれば 持分権・分割請求権が

 観念できることもあり得る]とされていたりしています(最判昭和32年11月) が

 管理組合の通常の運営では どのような解釈がとれるのか

 管理組合では その固有資産を保有し 管理規約の定めに従って 処分できることもある 

 という解釈もあったりします が・・・

 

 

というような説明になります

もちろん 以上も ひとつの 判例 の説明 です

 

いつもいうことですが

配当を得ることが可能となる立場の株式会社の社員(株主)などと比較すると 多少わかり

やすいかもしれませんが

管理組合 と 各組合員 との法的関係

理事長(役員) と 各組合員 との法的関係

それぞれの 委任・受任関係 債権・債務

不法行為の 加害者 と 被害者の捉え方

個々人 と 団体 の 捉え方

 

管理組合員は 専有部とともに 共有部にも レッキトシタ所有権を持つ 一国一城の主の集まり
なので 
複雑な権利義務関係を検討しなければならない場面が 世のサマザマナ組織のあり方に較べても

その性質上 多いのでは ? と思われます


(共用部分の管理)

第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、
               保存行為は、各共有者がすることができる。

 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

 

(選任及び解任)

第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、
                  又は解任することができる。

 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、
    その解任を裁判所に請求することができる。


 

 

【最後に 繰り返しますが 
上記の理論は 判例に現われた 地裁等の 一つの見解の 概ね です】

 

 はたけやまとくお事 務 所


管理組合による 専有部取得

2021-01-04 | マンション〔法 人〕

 

一般的には 
区分所有者の団体である管理組合が新たに不動産を手に入れることを 
[・・・建物・敷地・付属施設の管理・・・]
と捉えることには 少々無理がある と 考えられそうです( 区分所有法3条 )

 

以前 顧問先マンションにて 次のようなケースがあったことの事情聴取を経験

したことがありました

 

<管理費の不払いがあり その専有部分を競売手続に付した

 なかなか購入希望者が現われなかった

 競売対象のその専有部分からの管理費の徴収は無く それにもかかわらず

 使用収益は競売手続が滞っているため継続されるので損耗も進む

 建物全体の価値を維持するためにも 管理団体としてそのような情況を放って
 おくわけにもいかなかった>


そうした情況下で無し得ること というか 為すべきことの一つ は ?

 

 

管理組合には そのような情況を改善すべき責務あるといえます
執行部役員は 管理担当の先鋒として 受任者としての行動をなすことになる

 

ということで 管理組合が所有者となる〔 購入者が登場するまで 〕という手法を

検討したのでした

 

管理組合による専有部取得の是非の判例として 東京高裁平成14年1月 や 

東京地裁平成23年7月 があります

 

「 法人格の無い社団 」ではなくて いずれも 管理組合法人 による取得です

法人 ですので 所有権登記名義人になることが可能です

 

全員合意を要するという考えもあるでしょうが 管理運営上必要となった

決議として そこまでの要件は要らないとの解釈が可能となりそうです

 

以前
2019年 2月21日ブログで 上記に関したことを記していました

https://blog.goo.ne.jp/toku2184/e/1a8d6d3c458f32654eb47d566a83fb58

 

自身の力量では 残念ですが 専有部取得のための決議要件について 一義的な
結論じみたことを述べることはできません

ご容赦ください〔判例の詳細をつかみきっていません モウシワケアリマセン〕

 

とにかく 法人化してあれば ということで

法人化を勧める理由の一つは 上記のようなケースでの処理を思ってのことです