おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

マンション管理士/〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師が生業の巷の一介の素浪人の日常

理事長の行為を訴えた案件の一例

2021-01-06 | マンション〔法 令・判 例〕

 

 

・・・管理組合に代わって
  個々の組合員が 理事長に不法行為による損害賠償を請求できるのか ?・・・

 

 

完成時に一括して支払えばよいとされていた外壁などの工事代金を 理事長が 約束より早めに
支払ったため損害が生じてしまった として 契約どおりの支払時までに運用されて得られたはず
の 約200万円を損害賠償請求する事件が東京地裁でありました〔平成 4年7月〕

 

『裁判で勝訴した時は 得られたものを直ちに管理組合に引き渡す』 として 一人の組合員が 共用
部分の保存行為は単独で行動できるはずだから と 裁判を起こしたのでした


理事長に対する
不法(違法があるとして)行為による損害賠償請求
(債務不履行による損害賠償請求としてではなく)

 

 

マンションの管理運営上の大事な論点のいくつかが この裁判から理解できそうなので 管理運営上
の重要な参考の一例として 説明させていただくことがあります

説明させた頂く概略は 以下のようなこと

・一人で裁判を起こすためのの根拠とされた <保存行為> と理解されるか?

・自身の益のためではなく 管理組合のためにする意思でも この案件の単独の提訴は許されないのか ?

・管理組合の資金の所有権は 誰にあるのか?

・各区分所有者は 徴収された管理費等に対し どのような権利を持っているのか

(仮に 管理組合が法人化されているならば どうか) ?

・・・などなど ですが

 

: 共用部分の保存行為とは 共用部分そのものの現状を維持することと理解すべきで
   
共用部分の工事費の支払に関しての損害の訴求を保存行為と捉えることはできない

: この件の賠償請求権は団体の全構成員に総有的に帰属するにすぎないので 訴求する
  ことによって得られるものを直ぐに管理組合に引き渡しての損害補填の目的であった
  としても 構成員単独での賠償請求は許されない

: 管理組合が徴収する管理費等(管理費・修繕積立金・一時負担金等)の金銭債権
   
管理組合に帰属し 管理組合の固有資産となる
  債権と同様に 徴収された金銭そのものについても 同様の理解がなされる

  そうであるので 個々の組合員は 管理費等の金銭債権金銭の権利者ではない
  法人化していない管理組合は 一般的には 「権利能力なき社団」として組合員全員で
 
その債権金銭を総有(各組合員が持分権を有しない)しているので分割請求はできない

 ≪法人化済み組合では 管理組合法人に債権・金銭が帰属する≫

 

: 他の判例では[総員の同意で 総有の廃止などの処分があれば 持分権・分割請求権が

 観念できることもあり得る]とされていたりしています(最判昭和32年11月) が

 管理組合の通常の運営では どのような解釈がとれるのか

 管理組合では その固有資産を保有し 管理規約の定めに従って 処分できることもある 

 という解釈もあったりします が・・・

 

 

というような説明になります

もちろん 以上も ひとつの 判例 の説明 です

 

いつもいうことですが

配当を得ることが可能となる立場の株式会社の社員(株主)などと比較すると 多少わかり

やすいかもしれませんが

管理組合 と 各組合員 との法的関係

理事長(役員) と 各組合員 との法的関係

それぞれの 委任・受任関係 債権・債務

不法行為の 加害者 と 被害者の捉え方

個々人 と 団体 の 捉え方

 

管理組合員は 専有部とともに 共有部にも レッキトシタ所有権を持つ 一国一城の主の集まり
なので 
複雑な権利義務関係を検討しなければならない場面が 世のサマザマナ組織のあり方に較べても

その性質上 多いのでは ? と思われます


(共用部分の管理)

第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、
               保存行為は、各共有者がすることができる。

 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

 

(選任及び解任)

第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、
                  又は解任することができる。

 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、
    その解任を裁判所に請求することができる。


 

 

【最後に 繰り返しますが 
上記の理論は 判例に現われた 地裁等の 一つの見解の 概ね です】