おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

迷惑 と 言い分

2020-06-23 | マンション〔トラブル〕

 

『・・・ところで その停止除去要請とかナントカって 住民全員の意見として言っているのですか ?

理事長と有志一同との合意だとしても このマンションの全員の声としての意見じゃないんでしょ

そういう請求に応じるつもりはないですよ  何度来られたとしても気持ちは絶対変わりません 』

 

 

マンション生活における ルール違反者対策 といっても サマザマな場面と

ソレゾレの対処手法があり どの方法を どの場面で登場させても良いという

わけではありません

生活観の差異・価値規準の多様さ・国際化・ある意味年代間によるものともいえそうな

経済力較差 

などなどから

実務相談に上るマンション制度上のトラブルも 複雑化しているともいえ 裁判提起やそれ

以前の時点での後ろ盾となる考え方のアレコレも 議論がある箇所も少なくないように思われること

があります

質問も ナカナカ 複雑錯綜するところでもあります

 

マンション法の 57条に 次のようなことが示されています   <省略箇所あり>

(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
  第五十七条 
区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれが
 ある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益
 のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要
 な措置を執ることを請求することができる。
 
 
上の条文だけからすると 区分所有者の全員 の一致がなければ この迷惑組合員への
対応には対策のたてようがないのか ? とも思えますが
いかにも身勝手な言い分に屈することとなって妥当性を欠くのでは ということなどから
マンション法26条1項においての 管理者〔理事長〕の
「 規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う 」
との規定で対応できるのでは というような
理解をする学者さんがいたりしています
 
(権限)
第二十六条 
管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地
及び附属施設を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利
を有し、義務を負う
 
 
 
(理事長の勧告及び指示等)
第67条
区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人
(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、
又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、
理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は
指示若しくは警告を行うことができる。          【標準管理規約】
 
 
 
57条は 強行規定とされています
当該の違反行為が 規約の定めで『区分所有者の総意による』義務違反行為と解釈され得るように
しておかなければなりません
対抗できる規約を シッカリと整備しておかないと 超個性的学習意欲満載的性向ともうかがえ
そうな超迷惑住人との対応は一悶着アリアリとなってしまうので・・・注意しなければいけません
実務経験上 上記のような住人さんとのヤリトリで なんともタイヘンな経験をしたことがあります
 
 
 
 規約義務違反であっても 共同利益(6・Ⅰ項)背反行為には該当しない程度のもの もあったり
 するでしょう
〔 ベランダに布団を干してはいけないという約束事がないがしろにされると 即 共同利益に反す
ることとなるべきなのか
 それほど重大ではないレベルのところの いわば単なる規約義務違反なのか ?
 前者であるとすると 最悪 マンションからの排除もあり得る違反だ というようなことを 超迷惑者
 住民に主張したくもなりそう・・・ ? 57条~60条 〕
 
 
 共同利益背反行為とまではいかないという規約違反の場合 26条4項で 管理者(理事長)は
 規約によって 規約で定めた行為の実行に関して訴訟を提起できるとしていることから
 57条~60条の場面のような個別の集会(総会)までは必要ない と 理解されているとも
 されますが
 
 
 法人の場合は 52条1項ただし書を根拠にして
(事務の執行)
第五十二条 
管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、すべて集会の決議によつて行う。
ただし、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び第五十七条
 第二項に規定する事項を除いて、規約で、理事その他の役員が決するものとすることができる
 
 
 ということで ルール違反に対する訴訟を起すといっても 集会(総会)の決議が必須となる
 ということでもないのだ とも理解され
 〔迷惑者に与える不利益に関し その迷惑行為の違法性が小さいものであるのなら というか
  それであるのであればこそ 慎重な手続がとられるべきで 集会の決議を要すべき という
  ように理解されるべき というような ? 主張をなさる説もみられるようですが・・・ 
  要するに 単なる規約上の義務違反行為に対する訴訟提起にも個別の集会決議を要する
  とする説もあり〕
 
 
国で示している 標準管理規約では
上のあたりのことが 第8章 雑則 に 
:66条 [義務違反者に対する措置] として マンション法の57~60条で措置されること
:67条 [理事長の勧告及び指示等] として 集会(総会)不要で 管理者(理事長)を中心とした
                        違反行為に対する機動的な対応の手段のことあたり
が示されています
 
 
念のために記しておくことにしますが
以上のことは 団体としての管理組合の行動に関してのことであって 隣の物がベランダ部分に
度々越境してしまい困っている などという場面で 組合員個人個人が 独立して自分の権利
(区分所有権・共用部分共有持分・人格権など)に基づいて 迷惑者に その是正を求めるなど
という場合は また 別のことです
                  
マンション法 《 第7節 義務違反者に対する措置 》は 詳細は ナカナカ手強い点が多くあり
学習においてもひとつの難所ともいえるでしょうが まずは 条文をジックリ眺めるしかないと思
われます
 
 
受験者の方は 将来の実務のためにも できるだけコンメンタールの利用が好い箇所のひとつ
なのでは と考えられます
が なにしろ その類のものは 高価なものが多い ので 困りますよね
自身には 実務上 コンメンタール携帯は必須ともいえるのですが・・・
 
                   http://toku4812.server-shared.com/ibarakihatakeyama.html
                       
         
 
                       はたけやまとくお事 務 所
   

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