昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説<手術室から>(27)目の手術(3)

2015-09-12 04:56:55 | 小説・手術室から
 秀三は息子の手術、大先輩の手術を体験して手術にはいろいろな心配がつきものだということを身をもって知った。
 たかが目の手術、今特に支障を感じていない手術に踏み切るべきか?
 揺れ動いていた秀三の気持ちは、「名医・病院」という本を目にして手術を受けることに踏み切った。
       
 担当する村上先生が名医として載っていた。名医ならと心が決まったのだ。

「手術日が近づいて来たら、内科検診の結果をご確認ください」
 看護師から言われていたので、予約はしていなかったが村上先生の出の日を確認して出かけた。
 待合室はたいへんな混みようだ。
 
 順番待ちをして1時間以上経過した。
 隣の皮膚科はすべて終わって閑散としているのに、午後4時をすぎても眼科にはかなりの外来患者が残っている。

 営業マン風の中年男が隣に座った老人に向かってしゃべりだした。
「いつもこんなに待たせるんですか?」
「ええ・・・」
「冗談じゃないですよね。予約した時間からもう1時間近くも経っていますよ」
「・・・」
「病院だから許されているようなものの普通の会社なら考えられないね!」
 男の口調が変わった。

「だいたい予約を何人とればどのくらいの時間がかかるかわかりそうなものじゃないですか!」
 しゃべりだすとこの男は饒舌だった。
 老人の返事を待たずにひとりでしゃべっている。
「先生だってそんなにたくさんの患者を根を詰めて診察したら疲れるだろうが!」
「・・・」
「それに村上先生でなくてもいいような症状の患者もけっこういるんじゃないの? なんでも合理的がいいわけじゃないけれど、アメリカのように必要診察時間から逆算して予約の数をとるようにしなきゃ!まともな診察なんかできっこないよ! 待っている患者だって疲れちゃうよ」
「・・・」
「患者主体という発想がまるでないんだから!」

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 

 夏休み明け、昨日は久しぶりの小学校の囲碁教室。
 
 男の子が3名で女子が6名。女子のほうが多い。
 先生3名で対応して、対戦が主体で行われた。
 先生と対戦して勝つと獲得点数が多くなるのでみんな先生とやりたがる。
 ぼくも女生徒を相手に4子置かせて2面打ちした。
 ミスを指摘して指導しながら打っていたらふたりの望み通りに負けてしまった。
「やった! 先生に勝った!」
 喜ぶ生徒の満面の笑顔にこちらも気分がよくなった。




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