昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(88)第7回読書ミーティング

2014-05-18 03:37:43 | 三鷹通信
 今回は講師の2冊をはじめ計8作品、これまで最多の本が推薦された。
 講師はじめ、集まったみなさんのご意見、感想を拝聴しましたので、ここにボク的にまとめてみます。

 先ず、講師からベストセラーとして、村上春樹の<女のいない男たち>とロングセラー、ヘミングウエイの<老人の海>

 ウオールストリートジャーナルでも、発売日に徹夜で書店に並ぶハルキストを取り上げていたそうですが、この<女の~>は発売1か月ですでに40万部の文句なしベストセラー。
 
 日本のみならず、世界中で何故これほど人気があるのか?
 ボクが若いころの、ゲバ棒を振り回していた時代が終息して、やり場のない若者の孤独感と人生に対する喪失感が彼の作品に向かわせるのでは?

 そんなある意味自分のライフスタイルを持った若者の姿を、彼は比喩やメタファーを駆使した美しい文体で表現し、共感を覚える読者を誘う。
 
 この作品をボクはまだ読んでいないが、「50歳を過ぎたプレイボーイが恋の悩みで餓死する」なんていう短編があると聞かされれば読んでみたい気にさせられる。

 逆にそのもったいぶった文体が気にくわない、とかそんな孤独感、喪失感に共感できないという人たちにとっては「読む気がしない」ということになる。
 また「女に先入観をもっている。女を蔑んでいる」と嫌う女性もいた。

 それでも講師はこれからも村上春樹を取り上げていきたいと、いたくご執心のようだ。
 売れる作家という点では興味津々だが、売れる一因としてマスコミ効果が無視できない。
 編集者魂をくすぐる作家であることは間違いない。

 <老人と海> 夏目漱石の<こころ>、太宰治の<人間失格>に続いて不動の第3位のロングセラーだ。
 
 老人漁師が力を尽くして釣り上げたカジキマグロを船にくくりつけて戻る途中、鮫にほとんどを食い尽くされてしまい、少年に慰められると、ただそれだけの作品がなぜ受ける?
 
 福田恒存に言わせれば、ヘミングウェイは純粋に客観的な外面描写を用いて、彼自身の主観が認めうる理想的な人間像を描いた。読者は綿密にかれの行動をたどることによって、生理的、心理的、倫理的なカタルシスを感じ、読み終わったあとで心身の爽快さをおぼえる。
 村上春樹作品とは趣を異にするようです。

 <海をみていたジョニー>五木寛之
 
 仲良くなった黒人ジョニーが、ベトナム戦最前線に送られ、帰還。3人でセッションを組み彼は素晴らしいジャズを演奏する。
 しかし、心に傷を負った彼はブルースは汚い手では弾けないとつぶやく。

 <科学の宝箱>TBSラジオ編
 
 不思議と発見がいっぱいの科学
 あの<はやぶさ>は故障したのに自力で地球に戻って来たとか、なるほど!という話が満載。

 <この素晴らしい星空をあなたに>を実現したプラネタリウムの大平貴之氏は言う。
 将来的に人間はよりテクノロジーを進化させていくのか、それとも自然との共生の社会を目指していくのか、(技術者としてはともかく)科学者は真理を追究して神と向き合わなければならない。・・・ボクが魅かれた1点です。

 <吉祥寺が『いま一番住みたい街』になった理由>斉藤 徹
 
 戦後の闇市・ドヤ街から、高度成長期はピンク街、ジャズとフォークソング、マンガ、小説の舞台のサブカルチャーの若者の街。
 狭い所にぎっしり個性的な店舗、大型店舗もほどよくあり、老若男女のほとんどの買い物が済ませられる。近くには井の頭公園という憩いの場もある。

 <狂気の沙汰も金次第>筒井康隆
 
 ご存じ、刺激的な言葉乱発の作家。
 悪意、皮肉、自虐、下ネタ満載のエッセイ集。こどもに読ませたくない本。
 しかし、推薦者は小学生高学年からはまり、ツツイストになってしまった。

 <夏目漱石の妻>鳥越 碧
 
 文豪と悪妻の誉れ高い奥様の知られざる内実。興味津々です。

 <恐怖はゆるやかに>渡辺淳一
 
 先程お亡くなりになった<失楽園>の作家の、医大に勤務していたころの初期の作品。
 マイカーを買ったばかり、幸せな人生を歩むはずだったのに、追突事故を起こして人生を転げ落ちることになるサスペンス。

 今日は盛りだくさんでまとめきれません。失礼の段はお許しを。