昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(148)久々の銀座

2012-12-09 05:26:47 | エッセイ
 久々に銀座に出かけた。
 このところ成績が芳しくなく、遠慮していたのだが、銀座の麻雀会の幹事から「ひとり足りないんです。ご参加願います」と言われたのだ。
 いつも降りる地下鉄の新橋駅に着いたときはまだ時間が一時間以上あったので、銀座まで足を伸ばしてみる気になった。
 快晴で、そんなに寒くもなく、歩行者天国で絶好の銀ブラだ。
 

 外人がけっこう多い。
 
 子ども連れの外人なんている。
 ウイーンのグラーベン通りを思い出した。
 ユルブリンナーのようなツルツル頭の男が自分より背の高い女に従うように歩いている。
 尖閣問題などの影響で途絶えていた中国人も戻ってきているようだ。
 中国語で何かしゃべりながら数人の男たちが、天ぷらの<天國>の看板にカメラを向けている。
 
 松坂屋に入ったら、家電製品売り場があった。
「ここは、家電製品とか、カメラなんかも置いているんですね? 最近のデパートには珍しいですね。やはり中国の観光客向けですか?」
 中国の観光客に人気の電気ガマや髭剃り、カメラが並んでいる。
「・・・? 日本のお客さまも多いですけど・・・」
「ブログに載せたいので写真撮らしてもらっていいですか?」
「それはちょっと・・・」
 うさんくさいオヤジと思われたようで断られてしまった。

 裏通りも歩いてみた。
「おっ! すごい看板の数・・・」
 
 その昔、現役のころ、この中の一つ<亜木>という会員制のクラブに通ったことがある。
 もちろん、社用でだ。
 ママは木下順二の舞台<夕鶴>に出たことがあるという上品な美人だった。
 まだ早い時間にドアを開けると、カウンターに座ってイケメンのKくんと大好きなビールを飲んでいた。
「あら、いらっしゃい。・・・そうなのよ閑古鳥が鳴いているの・・・」
 しばらくすると、若いホステスが次々とやってくる。
 みんな素人っぽい。
 劇団で修業しながら、夜はアルバイトでここで稼いでいるのだ。
「今度渋谷のジャンジャンに出るの。きっと来てよ!」とチケットを買わされたりした。

 そんな思い出に浸りながら久しぶりの麻雀に挑み、32名中3位に入賞した。
 
 帰りの銀座はひところの省エネ云々は忘れたかのように<光の道>で輝いていた。