昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(101)最後の武士の娘、蝶々さん

2011-11-27 06:05:08 | エッセイ
 宮崎あおいが久しぶりにテレビドラマ出演するというので、先週と昨日の二夜NHKの<蝶々さん>を見た。

 
 日本が西洋に目を見開いた明治の初め、幕末の動乱で蝶々さんは両親を失う。
 しかし、その武士の娘としての教えを胸に、苦境の中、健気にも乙女の時を過ごす。
 そしてアメリカという新世界に憧れる。
 そんな時、長崎に来たアメリカの若き海軍士官に巡り合い恋に落ちる。
 
 彼に武士の心意気を感じた彼女は彼との結婚を受け入れ、子どもを身ごもる。
 しかし、きっと迎えに来ることを約束してくれたが、彼は長崎を去っていく。
 
 結果的には<長崎式結婚>だった。
 周りの人たちは彼女が夢から覚めることを期待したが、彼女の愛は真剣だった。
 彼の言葉を信じ、生まれた子どもを育てながら、彼女は彼を待ち続ける。
 しかし、母国で結婚していた彼は戻って来ず、子どもだけが引き取られることになる。
 
「子どもには両親が必要だけど、お母さんが二人はいらんもんね」
 夢から覚めた蝶々さんは武士の娘としての覚悟を決める。

 悲劇ではあるが、救いは成長した子どもが、わが母の<愛と誇り>の真実を知ったラストシーンだ。

 日本が憧れた西洋文明も今や曲がり角に来ているように見える。
 今、近代日本の来し方を振り返って見ると、この物語は何か象徴的にさえ思える。
 改めて日本人として、人間としての心を再認識させられる物語だった。