昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(46)スローライフ&ユダヤ人(2)

2011-11-22 03:59:29 | 三鷹通信
 まさに、Tさんは時間に追われずに、余裕をもって人生を楽しもうとしている。
 利益、効率重視から暮らしや生きがい尊重へと切り替えようという発想は、スローライフとして日本で始まった概念とされる。
 たまたま、この日F教授が取り上げたテーマ<ユダヤ人>の生き方と対比してみると甚だ興味深い。

 イザヤ・ペンダサンが「日本人とユダヤ人」で指摘しているように、日本人の「安全と水はタダ」という発想は、ユダヤ人にしてみれば、生き方に対する考え方が根底から異なる。 
 島国で豊かな自然に囲まれ、多民族から干渉されることもなく、安穏に暮らしてきた日本人と、多民族から蔑視され、迫害され、世界各地を流浪し、苦難の暮らしを余儀なくされたユダヤ人とでは生きてきた環境が違う。

 しかし、その過酷な環境にあったからこそとも言えるが、ユダヤ人は異教徒に金を貸し、利子を取り、金融の技術を獲得、<株式会社>というシステムを発明する。
 しかも<国家>という他民族と対立を生む政治システムも彼らが発明したと言われている。
 そしてそれらユダヤ人が発明したシステムが、今や世界をコントロールしている。
 カール・マルクス、アイザック・ニュートン、アインシュタインといった各分野で世界をリードする逸材を輩出し、原発を発明したのも、アメリカを始め世界の金融資本を牛耳っているのもユダヤ人だと言われている。

 ユダヤ人と日本人との関わりで思い起こされるのは、一つは<日露戦争>においてユダヤ人が日本を援助してくれたことである。
 戦費を賄うため、高橋是清は外債を発行したが、勝てそうもない日本の外債の引き受け手はどこにもいなかった。
 ところが、ユダヤ人、ヤコブ・H・シフが音頭を取り、世界中のユダヤ人の金融業者がロシアに日本を負けさせまいと援助の手を差し伸べた。
 当時ロシアのキシネフで起きたユダヤ人大虐殺が世界中のユダヤ人を激怒させたのだ。

 もう一つは、第二次戦争のさ中、当時リトアニアの日本領事だった杉原千畝のユダヤ人に対するビザ発給事件である。
 この件は日本人のユダヤ人に対する人道主義として世に受け入れられている。
 ところが、あるユダヤ人に言わせれば、これは、ナチドイツの末路を見通した杉原領事の国益に基づいた行為だったということになる。
 つまりユダヤ人にしてみれば、世の中は人道主義などで動くのではなく、すべて自分に利するかどうかという打算で行動するのだという考え方に基づいている。

 ぼくが、短絡的に思うに、ユダヤ人の発想は<力>を信奉する<父系的>であり、日本人のそれは<和>を貴ぶ<母系的>である。
 ある意味、現在の世界文明の在り様は、良い悪いは別にして、<力>のせめぎ合いの中から生まれたユダヤ人の<父系的>な発想に基づいた結実である。 そして、そのひずみが今、科学の面(原発)でも経済の面(金融資本)でも表面化して、苦慮しているというのが人類文明の現状なのではないだろうか。

 今こそ、地に足が着いた、言い換えれば自然と共生する<母系的>スローライフの日本的発想が見直される時が来たと見るべきだろう。