昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(216)日本人(46)

2011-08-24 05:20:57 | なるほどと思う日々
  英国の経済雑誌<エコノミスト>最新号の表紙をこんな風刺画が飾った。
 
 朝日新聞の22日の<座標軸>に主筆の若宮啓文氏は「表紙には富士山を背にオバマ米大統領とメルケル独首相が着物姿で並び、タイトルは「ターニング ジャパニーズ」。
 ぐずぐずしていると日本みたいになるぞ、という警告だ。
 意味するものは長きにわたる財政の無策と政治まひである。
 侮辱的なイラストだが、反論もできまい。財政赤字はふくれ上がり、大震災や原発事故に加えて国際政治が難局のそのとき、またも首相が代わる国なのだ」
と述べ、劣化極まる政治に対し、二院制度と選挙制度を抜本的に改革せよと訴えている。

 しかし、制度の問題というより、首相が回転ドアのように変わることを日本の国民が何とも思っていないことが問題なのでは。
 つまり、民主党政権になって衆参ねじれが問題となっているが、それ以前から首相はとっかえひっかえ入れ替わっている。首相がだれであろうと問題ないと国民は思っているのでは。
 むしろ、朝日を筆頭にマスコミには、パワーのあるリーダーの出現を嫌う風潮がある。

 今から30年近く前、フランスから日本にやってきたポール・ボネ氏は<不思議の国ニッポン>の中で述べている。
 「ムッシュ・ヨシダ(吉田茂首相がなぜ<ワンマン>と呼ばれたか──それは、大多数の日本人がワンマンの存在を喜ばないことのアンチテーゼであると(日本人とのビジネスを通じて)気がつくようになったからである」
 
 日本人とのビジネスを通じて彼が知ったことはこういうことである
「欧米のトップマネジメントは、社員の生存権がトップの判断にゆだねられていると同時に、責任もまたトップに集中している。それが日本では権利も責任も分担制である。そして何よりも不思議なのは、マネジメントの判断までが分担制なのだ。日本人と取引するうえで、この知識は絶対に欠かせない。ミドルマネジメントから入っていって、ネゴシエーションをピラミッド型に積み上げていくのが成功の秘訣だ。そして、この秘訣は、単に民間企業を相手にしたときばかりでなく、官僚組織から何らかの合意をとりつける場合にも必要である」

 ただ、日本でも戦後占領下という特殊状況下で政治を仕切った吉田ワンマンだけでなく、<日本列島改造論>の田中角栄、と<自民党をぶっ潰せ>の小泉純一郎というユニークなワンマン手腕を発揮した首相がいた。
 ただし、彼らも退任すると同時に酷評され、またぞろ誰でもいい首相が出現している。

 少なくともこの大震災というこの国難の時だけでも、ユニークな<ワンマン>の出現を期待したい。