竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌1308から集歌1312まで

2020年12月28日 | 新訓 万葉集
寄海
標訓 海に寄せたる
集歌一三〇八 
原文 大海 候水門 事有 従何方君 吾率凌
訓読 大海(おほうみ)しさもらふ水門(みなと)事あらば何方(いくへ)ゆ君し吾を率(ひき)凌(の)がむ
私訳 大海を航行する船の湊で、事件が起きたらどこへ貴方は私を連れて逃れるのでしょうか。

集歌一三〇九 
原文 風吹 海荒 明日言 應久 公随
訓読 風吹きし海し荒りし明日と言ふ久しかるべし君しまにまに
私訳 風が吹いて海が荒れて、明日逢いましょうと貴方は云う。それは待ち通しいことです。でも、貴方の御気に召すままに。

集歌一三一〇 
原文 雲隠 小嶋神之 恐者 目間 心間哉
訓読 雲隠る小島し神しかしこけば目こそは隔(へだ)て心隔てや
私訳 雲間に隠れる吉備の小島の神が恐れ多いので逢うことは出来ないが、貴女への恋心は離れてはいません。
左注 右十五首、柿本朝臣人麿之歌集出
注訓 右の十五首は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。

寄衣
標訓 衣に寄せる
集歌一三一一 
原文 橡 衣人者 事無跡 曰師時従 欲服所念
訓読 橡(つるばみ)し衣(ころも)し人は事(こと)無しと云ひし時より着(き)欲(ほ)しく念(おも)ほゆ
私訳 「橡染めの衣を着た人は、事件を起こすような不誠実な人ではない」と貴女が語ったときから、その橡染めの衣を着たく思いました。

集歌一三一二 
原文 凡尓 吾之念者 下服而 穢尓師衣乎 取而将著八方
訓読 凡(おほ)ろかに吾し念(おも)はば下し着て穢(な)れにし衣(きぬ)を取りて着めやも
私訳 いい加減に私が貴女を慕っているのでしたら、服の下に着てくたびれてしまった貴女との思い出の衣を、このように取り出して着ているでしょうか。

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