旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

寺島実郎講演会「日本経済の現状…」(つづき)

2014-06-20 11:08:18 | 政治経済


 ヘッジファンドの経済活動はマネーゲームで、「売り抜く資本主義」であり「育てる資本主義」ではない。現下の株高はその外資に依存した妄想であると寺島氏は指摘する。その中で日本国民の生活はどうか? 寺島氏の指摘は続く。

 2000年を100とした2013年10月の企業物価指数は、素材原料247.3、中間財116.5、最終財(消費財)87.2、と川上インフレ川下デフレ、つまり深刻な消費低迷を示す。その消費できない根本問題にワーキング・プア問題があるという。
 2009年の雇用者5.478万人中、非正規雇用者(バイト、派遣など)は1.721万人(31%)、そのうち年収200万円以下のワーキング・プアは1.287万人で74%を占める。自営業者で年収200万円以下の人と、正規雇用者で200万円以下の423万人を加えると、200万円以下の収入で働く人は労働人口6.272万人の34%に当たる2.165万人に上るという。

 これでは消費が伸びる余地はない。加えて生活保護受給者は2013年6月で215万人に達した。この層には生活扶助基準額(東京都標準3人世帯)210万円が支給されるが、住宅扶助や医療費無料などを加えると年収ベースでほぼ300万円の支給となる。こうなれば働くより生活保護を受けた方が楽となる。
 寺島氏は、「税と社会保障の一体改革というが、生活保護と社会保障年金で支える社会は不健全――基本的には税と年金を支える『公民』を育てることが肝要」と指摘する。
 一方企業利益は、98年を底として07年までに2.4倍になっている。問題は「なぜ企業は労働分配率を引き上げないのか?」ということだが、その理由に寺島氏は労働組合の弱体化をあげる。労働組合の組織率は2012年には17.9%へ下がり、しかも中身は公務員と大企業の組合に後退していると指摘。
 労働者は、唯一の力である団結力まで放棄(奪われた?)して、生活向上、賃金引上げを要求する力も失っているのである。
 これまた怖い、怖い話である。
 


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