旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

24節気の酒 ・・・ 立冬

2009-11-07 13:33:47 | 

 今日は立冬、暦の上ではもう冬が始まったのである。『暦便覧』によれば「冬の気立ち始めて いよいよ冷ゆれば也」とあるので、本格的に寒くなる頃に入ったというのであろう。

 前の節気「霜降」に際して、「とても霜の降る気配など無く、季節感としてはピッタリこない」というようなことを書いたところ、その直後から寒くなり、前週の前半はまさに冬そのものという寒さであった。北海道はもちろん日本海側は雪が降り、東京も最低気温が5度ぐらいとになり霜降という感じがピッタリであった。あわててセーターを着込み、部屋のエアコンを暖房に切り替えた。季節の動きとは実によくできているものだ。
 ところが立冬の今日は、また10月の陽気に逆戻りのようだが。

 季節の変化が激しいように、この時節の酒もにぎやかだ。海の向こうからはボージョレ・ヌーボー(ワインの新酒)解禁の月で、今年はかってない良い出来との触れ込みで、第一陣到着のニュースがにぎやかに流れている。私は、何年か寝かして、落ち着いて丸みを帯びたワインが好きであるので、ボージョレ・ヌーボーをあまり美味しいと思わないが、日本人にはとかく人気があるようだ。

 日本酒は、9月ごろから出始めた「ひやおろし」のシーズンが終わり、それこそ熟成、火入れを経た落ち着いた酒が美味しい時節だ。
 今年は9月下旬にトルコなどに行って、ひやおろしに触れる機会が無かった。酒は一般に冬季に造り、絞ったあと一回目の火入れ(60度ぐらいの低音殺菌)をして夏の間タンクで寝かし、秋に2回目の火入れをして出荷される。その2回目の火入れをしないで、出来るだけ生のままで、熟成した風味、日本酒の風味を生かしたまま飲もうというのがひやおろし。ボージョレ・ヌーボーは今年のブドウで造ったばかりのワインであるので、これは“生生(なまなま)酒”と言うべきものだが。

 ひやおろしは、日本酒の通が秋口の酒として最も喜ぶ酒である。しかし前述したようにそのシーズンは過ぎて、今や、じっくり熟成した火入れ酒の落ち着いた丸みのある味が、天麩羅、すき焼き、鍋物などの日本料理と合う時節になってきた。

 今月は焼酎も黙っていない。111日は「焼酎・泡盛の日」と定められており、今月を焼酎月間として同業界は宣伝これ努めている。
 
11月は、酒にとっては意外ににぎやかな月なのである。
                           


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