旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

今年の政治、経済--①アメリカ

2008-12-05 15:11:38 | 政治経済

 

 今年の世界政治経済では、印象的な事柄が多かった。中でも、米大統領選挙におけるオバマの勝利はその最たるものであったろう。従来の踏襲ではなく変化を求めたアメリカ国民は、挙国一致でそれに取り組むに一番ふさわしい人物を、人種問題という歴史的な壁を乗り越えて選んだ。
 
アメリカはそれほど困難な問題に直面しているということだろう。それは、内にあっては100年来の津波といわれるアメリカ発の経済危機であり、外にあっては正義を失って泥沼化したイラク戦争をはじめとした外交問題であろう。

 選ばれたオバマは、変化を求めるにふさわしい快調なテンポで、この2大課題に取り組もうとしていることも印象的だ。即ち、最大課題である経済問題に取り組む経済チームと、外交課題に立ち向かう外交チームを矢継ぎ早に発表した。
 
経済チームのトップには、若くて切れ味鋭いガイトナー・ニューヨーク連銀総裁を財務長官に、すでに試され済みの実力者サマーズ元財務長官を国家経済会議委員長に起用することを決めた。
 
それにも増してオバマらしさを発揮したのは、外交チームの人事である。要となる国務長官に、あれほど激しい予備選挙を戦い合った党内の政敵ヒラリー・クリントンを指名し、国防長官には、批判しつづけた共和党の現閣僚であるゲーツを続投させることとした。まさに、挙党・挙国体制と言うにふさわしい。
 
特に、クリントンを選ぼうとした経緯を知って、改めてオバマの人間的大きさを感じた。12月2日付日本経済新聞夕刊の囲み記事によれば、その経緯は次のように報じられている。

「オバマ氏は『急にパッとひらめいたのではない』と語り出して『民主党予備選が終わってから、彼女と協調できる方法はないかといつも考えていた』と、六月の予備選終了後にはクリントン氏の政権入りのアイデアを暖めていたと説明した。」
 
そして「大統領選が終わって政権の顔ぶれを考え始めたとき、彼女は素晴らしい国務長官になると思った」として、
11月の大統領選直後には決めていたと報じている。
 私は、オバマでなければクリントンが十分に大統領の役を務め得ると思っている。その彼女の実力を、当面の敵として激しく戦ったオバマは、いやというほど感じたのではないか? そしてその戦いが終わった瞬間から彼女との協調を求めつづけたのであろう。
 
閣僚人事などというものは、身内、側近を含めしがらみの多いものに違いあるまい。それを考えると、いくら挙党、挙国とはいえ、このような発想を常にもち、それを断行するには、それなりの「人間の大きさ」みたいなものが要るのではないか?
                            


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