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旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

日本酒新時代シンポジウム(2)

2008-07-06 15:00:48 | 

 

 2日付のブログで書いた「日本酒新時代シンポジウム」の基調講演は、「静岡酵母生みの親」と言われる河村伝兵衛氏の、「日本酒はなぜ飲まれなくなったのか」という話。

 河村氏の言う「おいしい酒」とは、①香りはさわやか、味はきれいでまるい。②料理の邪魔をしない、③酔い覚めがよい、酒だと言う。そしてこれを妨げたのが、「カプロン酸」と「液化仕込み」だと指摘。
 まずカプロン酸は、セレルニン耐性酵母によるもので、最初は華やかな香りを放つが、時の経過にしたがって「糠漬(ぬかづけ)の香り」となり、秋にもなれば飲めたものではない。このような香りで、鑑評会で金賞をとっても、香りは料理の邪魔をするし、決して良い酒ではない、という。
 液化仕込みは、米を粥(かゆ)状態にして造るので粕歩合の低い酒、つまり雑味もともに酒になり、きれいな酒にならず、酔い覚めも良くない。加えて絞りの袋を汚れたまま使い(一年中洗わないで使っている蔵が多い)、その雑味も多く、それら様々な雑味を、活性炭で除去する安易な酒つくりをやっているところに、「おいしくない日本酒」が増えた原因があると言う。
 とにかく、原料米を厳選し、精白を上げて雑味のない酒を造ること。その際、心白があまり大きくない米がいい、なぜなら心白が大きいと削れない、つまり精白があがらない、と言っていたが、これは初めて聞いた。
 また、酒造りは「洗いに始まり(米洗い)、洗いに終わる(袋洗い)」と強調していた。

 最も強調したのは、「カプロン酸はダメ。これが日本酒を悪くした」ということで、一時は私も香りに惹かれる時期があったが、最近は専ら「香りを抑えた、米の味を引き出した酒」を求める自分の心境にぴったりの話であった。
                             


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