ピロリ菌が消えた、妻の胆石も消えた等いい気になっていたら、その夜から喉が痛くなり、引きつづき強烈な鼻風邪に襲われ、ついに会社を早退して寝込む羽目になった。
年甲斐もなく「…新たな健康に向かう…」などと調子のよいことを言っていたので、神のお咎めを受けたのであろう。妻の念願の胆石切除と相まって、やや有頂天になっていたので、「調子に乗るな!」という神のお叱りであろうが、神様というのもよく気がつくものだとつくづく思う。世界60億の人間の様相を絶えずチェックして、褒めたり叱ったりしているのだろうか? 一人でやっているとすれば相当な能力だと感心する。
折りしも、そのような病気が未だあったのかと思われるハシカが流行っているようで、名だたる大学が休校していると言うから驚きだ。水っ洟をかんでティッシュペーパーの山を築く私に、妻が、「あなたハシカではないでしょうね」と言うので、
「俺は昭和一ケタ生まれだ(注)。今の大学生ほど軟弱ではない!」
と息巻いたが、瞬間、神に聞こえはしないかと息を飲んだ。これ以上お叱りを受けたのではたまったものではない。
お陰で神は見過ごしてくれたらしく、今朝はスッキリして仕事に向かっている。
(注)私は昭和10年生まれ。都合により一ケタ代と二ケタ代を使い分けている。ゼロは無視したり数えたりしてるわけだ。若く見せたいときは二ケタ生まれ、古きに威厳を持たせたいときは一ケタ生まれということにしている。