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【中国、日本と違って米国債を買って素直に喜べる…?】米中貿易戦争が教える両国の残念ぶり⑥

2019-06-03 00:03:05 | アジア

前回からの続き)

 先述した理由などから、中国は引き続き、アメリカの通貨ドルこそが「価値のあるもの」との前提で通商政策や金融通貨政策を進めていく以外にないでしょう(?)。当然ながらこれ、アメリカにとっては非常にありがたいことになります。中国は喜んで受け取ったドルで・・・米国債を買ってくれるからです。

 以前から書いているように、アメリカは巨額の財政赤字をファイナンスするマネーを常に欲しています。本来それは税収で補うべきですが、その赤字額は増税等で賄えるレベルをはるかに超越しているので、あとはどうしても外国からの借り入れに依存せざるを得ません。で、アメリカにおカネを大量に貸せる国は国際収支黒字の額が大きな国・・・ということで、中国が米国債の大口バイヤーとして当てになってくることになります。実際に同国の米国債保有額は201811月末時点で1.12兆ドルと、2位の日本(1.04兆ドル)を上回って世界1位・・・

 こちらの記事等で指摘したとおり、アメリカの国家的アキレス腱(弱点)は「金利です。具体的には、長期金利のコントロールができなくなったらアメリカはオシマイ、といったような意味です。このリスクをかなりの程度、緩和してくれるのが上記中国による米国債買いということになります。中国の購入で米国債価格が上昇し、長期金利が低い水準に維持される・・・ので現下の借金バブルが大崩壊しないで済む(?)、というわけです。

 同じ巨額の米国債ホルダーとしての日本の比較でみると、アメリカにとって中国のほうが買い手として有望な面もあるものと考えられます。上記のように、中国は純粋に米国債を「価値のあるもの」として自分のほうから進んで買ってくれるからです。この点、わが国とはまったく(?)違います

 こちらの記事を含めて何度も書いているところですが、現在の金融環境では「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利[=名目金利-予想インフレ率]の大きい順)が成り立つために日本には本来、米国債(を含む大半の外貨建て国債)を購入するインセンティブはありません。長い目で見れば、多くの場合、米国債投資のリターンは日本国債投資のそれを下回るためです。それでも日本が1兆ドルを上回るほどの大量の米国債を抱えているのは、経済的な理由・・・ではなく(?)政治的な意味合いが強いといえるでしょう。日本の米国債投資は、その購入時から比べると(受取利息を繰り入れても)償還時の価値が円建てで目減りしているケースが大半でしょうが、その損失(アメリカからすれば返済負担の軽減)は・・・こちらの記事等に書いた「安全保障代」ということで割り切るしか・・・?

 他方、中国の場合は上記のとおり、「価値のあるもの」としてのドルの利回りをもたらす米国債投資が経済合理性に適ったものになります・・・っても、日本と比べれば「円>ドル」だから、中国が得られるリターンは、自国国債でマネーを運用する日本のそれを下回ることになり、ドルにしがみつく限り中国は日本以上の経済成長は達成し得ないことになります、本来ならば―――つまり日本が「アベノミクス」(≒円安誘導≒「円<ドル」誘導)なんぞをしなければ・・・(?)

 中国が「残念」だな~と個人的に感じるのは上記のあたりです。もし中国が、為替管理≒ドルペッグ制などを行わず、金融市場の自由化・透明化を進めていれば、いまごろ人民元はドルではなくて中国債と巨大な金準備に裏付けられた強い通貨になっていて、国家国民は真の経済繁栄を享受できていただろうに・・・って、やはり無理ですね、このとき為替レートは元高ドル安になるので、メイド・イン・チャイナ唯一の(?)アドバンテージである「最大の得意先アメリカ人にとっての価格の安さ」が失われてしまうから・・・

(続く)

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