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【SVBの破綻はFRBのインフレ退治の「本気度」を試したが…】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ③

2023-03-19 20:13:34 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、アメリカの中堅シリコンバレー銀行(SVB)の破綻程度の、本来なら想定内であるべき小さな出来事を米FRBはスルー・・・することができず、預金保険等(血税の登場)を差し置いて(?)、その預金の全額払い戻しに応じられるだけのマネーを実質的に新規増発することにしました。ということは、FRBは今後、米国債価格がいま以下には下がらないよう、そして(長期)金利はいま以上には上がらないような政策運営を図っていく、と読めるわけです。それだけで解釈するなら、米経済は、これまでのインフレが収まり、むしろデフレ気味になってきたので、景気を刺激する必要が生じている・・・のでしょうか?

 ・・・って、まったく違います、いうまでもなく。つまり引き続きインフレが米経済の最大の脅威となっている状況に何ら変わりがない、ということ。たとえば2月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比でプラス6.0%(前月比プラス0.4%)と高止まりの様相を呈しています。

 この点、とくに重大なのは、これまた繰り返しですが、長期金利になります。上記CPIの1/3を占める住居費は前月比で0.8%上昇、そして家賃は前年同月比で8%もの上昇と、いずれも総合値以上の上昇率を示したことから、住宅・不動産に関するコストの値上がりがCPI全体を押し上げている様子が窺えます。それらを抑えていくには、やはり長期金利が上がる(長期国債の価格が下がっていく)方向に働きかける・・・ことで住宅ローン金利の上昇等を促して、上記費用の高騰をもたらしている不動産市場の過剰な熱気を冷ましていくこと等が必要でしょう・・・

 ・・・といった足元の情勢に照らせば、FRBは引き締めスタンスをまだまだ維持してインフレを鎮静化させるべきであることが誰にだって分かるはず。けれど実際は上記のとおりです。となればFRBには、インフレ退治よりもずっと大事なことがある、と推察するべき。当然それは(長期)金利上昇の抑制(長期国債価格の下落の阻止)によって達成されること、つまり大小等を問わずすべての金融機関の資金ショートを発生させないことであることが分かったわけです、今回の上記対応で。であれば、もはや現行の金融引き締め(利上げ)は意味を失ったといえますね、その結果としてSVBが破綻して同危機が生じたのだから。よって利下げを含む金融緩和の再(々々々・・・)開は時間の問題ですよ(って、前記した事実上の長期国債の価額押上げ策でこれすでに始動しているといえますが)。それも・・・何度も指摘するように実質金利がマイナス圏に深く没入している―――真性インフレが巻き起こっている―――という前代未聞の現局面で・・・

 かくしてアメリカは、資金繰り危機が拡大して金融恐慌入りする事態は免れそうです・・・が、やはり・・・でしたね。その意味で、SVBという「ちっぽけな」、つまり預金保険などの既存のセイフティーネットで対処可能な(?)程度の銀行の破綻は、FRBの「本気度」を試す重要な機会でした。結果的にFRBが、いとも安易にゲロった―――マネーを吐き出した―――ことで、あらためてアメリカ、そしてドルの行く末が定まっていることが確認できたといえるでしょう・・・

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