世界中の人々、とくに米国民は、不当に高い費用を払わされているという意識をもっと持ったほうがよろしいのではないかと・・・
ご存じのように、アップルの株価がスゴいことになっています。19日には時価総額がアメリカの企業としてはじめて2兆ドルを超え、大きなニュースとなりました・・・が、個人的にもっと驚かされるのは、その株価の上昇スピードです。年初、アップルの株価は約300ドルでした。その後の米コロナ禍の拡大で、多くの株と同様、いったん大きく下がり、3月20日前後には220ドル台をつけていました・・・が、それからは、ほぼ一本調子に上がり、6月10日前後には350ドル台(時価総額1.5兆ドル)に乗り、それから2か月ほど経った19日に460ドル台(同2兆ドル)に達し、そして21日(先週末)の株価は497ドルと、前日比で5%あまり(約24ドル)も上がって、時価総額も2.13兆ドルにまで膨張!・・・といった感じで、同社の株価は年初来で65%、3月安値からはほぼ2倍に上昇しました・・・
このあたり経済メディアは、コロナ禍で経済活動が低迷し、あらゆる企業の業績の下振れ等が懸念される中でも、アップルは在宅ワーク・在宅学習の拡大や、これから本格化する次世代通信規格「5G」の展開にともない、その製品やサービスの需要拡大が期待できるため、投資家のマネーが同社の株に集中した、みたいな解説をしています。ということで・・・アップルと同業の企業の株価も次のように大きく上昇しています。たとえばマイクロソフト:年初来33%、アマゾン:同73%、フェイスブック:同27%、などなど、です。いっぽうでダウ平均は年初来3%マイナス、S&P500は同4%プラス、ついでに日経平均は同3%マイナス(円換算)ですから、今年、これら米ハイテク業界の株価がいかに良好なパフォーマンスを演じているかが分かります(以上の上昇率は1/2と8/21での比較)。
上記に関連し、先月21日のブルームバーグは、アップル、アマゾン、マイクロソフト、そしてアルファベット(グーグルの親会社)の米IT大手4社の時価総額が同20日に5.71兆ドルと、日本の上場企業の総合計額(約5.84兆ドル)を上回った、と伝えました(今月21日時点では約5.91兆ドルになっている)。たった4社の企業価値だけで本邦企業全体を凌駕する・・・って、どんだけスゴいんだ、これら4社・・・の株価は?とは、日本人ならば誰もがそう感じるところでしょう・・・
さて、アップル・・・をはじめとする上記の米企業の株価がこれほどまでに短期間に急騰した理由ですが、上記メディアの解説だけでは十分とはいえない・・・というか、まったく不十分でしょう。まず指摘されるべきは、中銀の超緩和的な政策スタンスがもたらした異様なほどの低金利環境。このあたり本ブログで何度も述べているので詳細は省きますが、コロナ禍拡大以降の米FRBの実質マイナス金利誘導が、リスク資産の筆頭である株投資を煽り立てているため、ということになります。けれどそれだけでは、上記のハイテク株ばかりにマネーが集中する説明にはなりません。ここはやはり、これら米IT企業の業態に本質的な要因があるとみるべきなのでしょう。それはすなわち、「独占」です。