スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王座戦&確定的出来事

2019-09-03 18:56:24 | 将棋
 鶴巻温泉で指された昨日の第67期王座戦五番勝負第一局。対戦成績は斎藤慎太郎王座が1勝,永瀬拓矢叡王が1勝。
 振駒で永瀬叡王の先手となり,角換り相早繰り銀。この将棋は中盤で千日手となり,斉藤王座の先手で指し直し。
 指し直し局は矢倉から後手が速攻。先手が銀を取り,後手はと金を作って桂馬と香車を取るという分かれになりました。
                                        
 後手が取った香車を打った局面。ただすぐに銀を取ると☗同角があるのでそうは指しにくいところ。なのでのんびり指す手も有力に思えますが,先手は☗7四銀と打って攻めていきました。
 後手は☖8二飛。これには☗6三銀成がありそうですが☖8四飛~☖9四飛と活用される手があります。なので☗8五歩とそれを防ぎました。後手は☖7二金で☗6三銀成を阻止。先手はさらに☗8四歩と突き出し☖同飛☗8五銀上☖8二飛☗8四歩と押さえました。後手は☖3一玉でこれは戦線から離れるだけに有効な一手。先手は☗8六角と間接的に玉を睨みました。
 これには☖4六香がありそうですが,香車を渡すと☗2七香と打たれて2筋から攻められます。なので☖3三角と上がって手を渡しました。
 もう先手は指す手も難しかったようで☗8三歩成☖同金☗同銀成☖同飛☗8四歩☖8二飛と8筋を清算しました。
                                        
 先手は後手の飛車を8~9筋方面で使われることは阻止しましたが,完全に抑え込んだわけではなく,5筋から使う手が後手には残っています。そう考えると先手は攻めてはいったもののそう大きな戦果はあげられなかったといえるでしょう。第1図は先手も急ぐ必要はなかった局面と思われ,どうも先手が局面を悲観しすぎてしまったために慌てて攻めにいき,自滅してしまったという印象です。
 永瀬叡王が先勝。第二局は18日です。

 今回の考察に関連して,スピノザの哲学また人生について,確定した出来事として僕がつけ加えるのは以下の2点です。
 スピノザは定義Definitioに関して,その理念を変更させています。『知性改善論Tractatus de Intellectus Emendatione』の定義論がいつ書かれたものであるのかを特定することは困難ですが,このときにはスピノザは,定義からは定義されたもののすべての特質proprietasが必然的にnecessario流出するようなものでなければならないと考えていました。いい換えればそれは,定義は定義されるものの本性essentiaを説明するものでなければならないと考えていたのと同じことだと僕は解します。しかし1663年に書簡九で定義論を展開しているときのスピノザは,それ自身が吟味するために立てられる定義もよい定義であるということを認めています。いい換えればこれは,その本性が説明されるのならば,定義されるものがどのような記号で表示されても構わない場合があるということを認めていることだと僕は解します。これは明らかに定義の理念の変更だといっていいでしょう。
 スピノザは『ポール・ロワイヤル論理学Logique de Port-Royal』とフランス語の辞書を所有していました。なので通読したかどうかは別に,それを読んだことは間違いありません。もう少しいえば,ただ読んだのではなく,読んで理解しただろうと僕は解します。通読していないと仮定した場合に,どの部分を読んでどの部分を読まなかったのかを確定することはできませんが,ラテン語とフランス語には類似性があることは確からしいので,辞書がなくても,スピノザ自身に関心のあることが書いてあるか否か程度のことは分かったのではないかと僕は推測します。よって,関心がある部分に関しては読んだと推測するのが妥当です。なのでそこで展開されているのであろう定義論については,スピノザは読んだのだと僕は解します。
 このふたつの間に関連性があるか否かということについては僕は判断を保留します。ただパスカルBlaise Pascalの影響の有無とは関係なく,『知性改善論』の定義論がデカルトRené Descartes的なものであるとした場合には,よりパスカルよりにシフトした理念になったということはできると思います。
 『主体の論理・概念の倫理』関連の考察はこれで終了です。

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