スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王将戦&第二部定理四九

2008-02-28 20:26:29 | 将棋
 王将戦七番勝負第五局。久保利明八段の封じ手は桂馬の頭を攻める▲7五歩。ここからの分かれで先手は飛車を取り,後手はと金を作りましたが,このあたりはさすがに先手がリードしているのではないかと思います。
 この後,かなり激しい攻め合いに進展して第1図。ここは先手の勝ちのようです。
          
 ここから△1七歩成▲同香となった局面から観戦。先手の勝ちというのは検討の結果であって,このときはどちらの勝ちか分かりませんでした。以下,△同香成▲3七玉△1九角▲4八玉△5三金までは最善手の応酬のようで第2図。
          
 この形は後手玉が詰みません。よって先手は▲3三銀と打ってすべて清算し,▲4五桂から▲3三角と王手で角を受けに利かせてから▲5九玉と手を戻して第3図。
          
 この第3図は先手玉が詰むか詰まないかだけの勝負。実際には詰みませんので先手の勝ちなのですが,先手が玉を逃げ間違えたために詰んでしまい,後手の逆転勝ちとなりました。最終的な敗着が出たのは第4図。
          
 実戦はここで▲7五玉と上に出ましたが,△6四金があって詰んでしまいました。▲7六玉ならば△8六飛に▲7七玉と下に逃げて詰まなかったようです。また△7五歩ならそこで▲同玉と取り,△6四金には▲8四玉と逃げれば,そこで△8三歩と打つ一歩がないので,逃れているようです。後手にとってはまさに一歩千金でした。それにしても,第3図から△6九歩成と成り捨て,▲同玉△6七香▲7八玉にまた△6八香成と捨てて(先手は取らなかったわけですが)追っていく順は,プロとしては当然なのでしょうがとても勉強になる手順でした。
 久保八段としては時間が残っていただけに惜しまれる逆転負け。これで羽生善治王将の4勝1敗となり,防衛が決定しました。一方的な展開となる将棋が多かった今シリーズとしては,この将棋は好内容であったと思います。
          

 第二部定理四九系は,まずは個々の意志作用と個々の観念が同一のものであるという意味をもつのですから,この系が正しいということを示すためには,このこと自体を証明すればよいわけです。そしてこのことは,第二部定理四九に訴えることによって,一応は直接的に帰結します。そこでまずは定理四九をみておくことにします。「精神の中には観念が観念である限りにおいて含む以外のいかなる意志作用も,すなわちいかなる肯定ないし否定も存しない」。
 ここでスピノザは,意志というものをある肯定ないしは否定と考えています。もしも一般的に意志というものを考えた場合には,これは不自然であると感じられるかもしれませんが,これを問題にしますとそれこそ別のテーマを立てざるを得ないほどの厄介なことになりますので,今は意志をそのようなものと理解することにします。また,このように理解することは,少なくとも一理ある考え方だと僕は思います。
 ところで,ここでひとつ問題が生じています。この定理でスピノザが精神の中には,というとき,これは前後の脈絡からして明らかに人間の精神を意味しています。しかし,この定理はこのように考えてしまうと,人間の精神のうちにおける意志と観念についてのみの言及になりますので,一般に観念と意志とが同一のものであるということを示そうという現在の目的に適合しません。よってここでは,この定理から人間の精神という限定を外し,一般に意志なるものについて言及されているものとみなすことにします。

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