スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&理由といわれる理由

2020-01-04 19:04:51 | 将棋
 12月27日に指された第45期棋王戦挑戦者決定戦変則二番勝負第二局。
 振駒で佐々木大地五段の先手。相掛かりから相引き飛車の相腰掛銀。後手の本田奎四段から銀を交換し,先手から角を交換するという進展。ただ,後手は銀の交換によって6筋の歩を伸ばしたのに対し,先手からの角交換は先手の手損になってしまった関係で,先手の作戦負けになっていたようです。
                                         
 後手の馬が進出してきた局面。すぐに☖8七馬とするのは8筋に歩を連打して大丈夫のようですが,先手は後の当たりを避ける意味で☗5八王と早逃げしました。
 後手は☖6一香。これが痛打でした。先手は☗7五銀と逃げ☖7四歩に☗5五角。飛車取りなので☖6四歩と受けました。
                                         
 これで香車の直撃は避けられましたがそのために角を使ってしまったのが大きく,ここで決定的な差となったようです。第1図で先手から☗6一角と打っておけば後手は☖6三香と打つことになるのですが,これには攻め合っても実戦よりは先手がましでした。
 本田四段が勝って挑戦者に。プロ入りから僅か1年4ヶ月でタイトル戦初出場。同時に五段昇段を果たしました。

 スピノザが理由ないしは原因causa,あるいは前後を入れ替えた原因ないしは理由といういい回しをするのは,第四部序言に限られるわけではありません。むしろ『エチカ』の中では,このいい回しが頻出する特定の部分というのがあります。それは第一部定理一一の,僕が第二の証明といっている箇所です。前もっていっておきますが,スピノザが第四部序言の中でこのいい方をしているのは,この部分と関連してのことだろうと僕はみています。ただしこれは,秋保の指摘があったからそう思ったということであり,僕が前々からそう思っていたというわけではありません。第一部定理一一第二の証明の中におけるこのいい方もまた,一律に起成原因causa efficiensを意味するためにいわれているので,僕はそのことについても『スピノザ 力の存在論と生の哲学』を読むまでまったく気にしていませんでした。
 この部分では,単に理由といわれている部分もいくつかあります。一例を示せば,四角い円が存在しない理由は,その本性naturaに矛盾が含まれているからであるといわれています。四角い円というのは存在することができません。ですから存在しないものについてその起成原因を問うことはナンセンスでしょう。よって,四角い円が存在しない原因はその本性に矛盾が含まれているからだというのは不適切なのです。これなどはスピノザが原因といわずに理由というのはなぜかということを解明するのに役立つでしょう。スピノザが原因といわずに理由というのには,それこそれっきとした理由があるのです。なお,このことは,スピノザの哲学において必然と不可能が対義語であるということと関連します。第一部公理三から分かるように,原因と結果effectusの間にある関係は必然的necessariusです。ですから必然であるものについては原因といういい方が常に可能です。しかし不可能なものは存在することが不可能なのですから,それについて原因すなわち起成原因を問うことができません。よってこの場合には原因とはいわず,理由といわなければならないのです。
 しかし,単に理由ということにきちんとした理由があるとはいっても,それは原因と理由が並び立てられる場合にも該当するわけではないのです。

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