・ 実話をもとにしたデ・ニーロ、R・ウィリアムズ共演のヒューマン・ドラマ。
オリヴァー・サックス原作、<治療不能といわれる難病に挑んだ医師の奮闘記>をロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズの2大俳優共演により映画化。監督はペニー・マーシャル。
原題「Awakenings」より邦題のほうがピッタリの内容だ。
脳炎の後遺症である嗜眠性障害により、30年間寝たきりのレナード(R・デ・ニーロ)はブロンクスにある慢性神経病専門病院に入院中だった。
その病院に赴任してきたのがセイヤー医師(R・ウィリアムズ)。人間と関わることが苦手な研究者で、5年間ミミズを対象に実験していたが、人手不足のため研究者ではなく慢性神経医として雇われる。
病状に悪戦苦闘しながら試行錯誤する医師と30年ぶりに目覚めた患者の友情物語へと進んで行く。
いわゆる実話の難病もの映画だが淡々と進む展開は、ドキュメンタリー・タッチながらドラマチックな風情もあって、この微妙なバランスはスティーヴン・ザイリアン脚本ならではだろう。
何より2人の好演が最大の見どころ。
デ・ニーロは演技を超えたリアルな患者役で、奇跡を起こした夏の朝窓辺で静かに立つ姿は共感を呼ぶが、再び病状が悪化してゆく様は観ていて痛々しく、とても辛い。
父親を見舞いにきたポーラという若い女性とのデートは、少年から40過ぎの中年で目覚める残酷さを微細に亘って演じている。
R・ウィリアムズはコメディアンからシリアスな役まで幅広く活躍しているが、「いまを生きる」(89)、「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」(97)の教師役や「パッチ・アダムス」(98)の医師役など、決してエリートではないが誠実に職務に励むキャラクターがピッタリはまって適役だ。
「一度目覚めさせて、殺してしまった。」と悩むセイヤーの苦悩は、患者と医師には深い信頼関係が生まれてこそ報われる。
セイヤーにとって善き理解者であるベテラン看護師エレノア(ジェリー・カブナー)の存在が何よりも締めくくりに相応しい。
2人の共演をもっと観てみたかった。