・ S・ペキンパーによる可笑しくも哀しい異色西部劇。
前作「ワイルド・バンチ」(69)で、バイオレンス西部劇の監督として話題を呼んだサム・ペキンパーが、西部劇に引導を渡したといわれている作品で、後年自身のベスト作品といった異色西部劇。
砂金堀のケーブル・ホーグ(ジェイソン・ロバーツ)が仲間の裏切りで砂漠に置き去りされ、奇跡的に水源を発見。駅馬車の中継所を作り復讐の機会をうかがう。
王道であるカウボーイや先住民族との銃撃戦はないが、詩情あふれるカントリー・ミュージックをバックに荒野を走る駅馬車や土埃の街並みはまさに西部劇そのもの。
彩を添えるのは可憐な娼婦ヒルディ(ステラ・スティーヴンス)と自称・説教師のジョショア(デヴィッド・ワーナー)。
S・スティーヴンスは一世一代の水浴びシーンを始め胸元のカットバックなどサービス・ショットもある心優しい娼婦を演じて彼女の代表作となった。
インチキ説教師のD・ワーナーは殺伐とした西部で暮らす人々の隙間をぬってひょひょうと生きる男に扮し中和剤的な役割を果たしいる。
決してヒーローではない主人公の生き様は、復讐劇も異色の結末。駅馬車から馬のない車(自動車)へ進みゆく時代について行けなかった男の、可笑しくも哀しい滅びの物語だ。
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