晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『乱』 80点

2011-03-21 16:49:46 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 





1985年/日本






黒澤の「人類への遺言」は?





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
90点




音楽

★★★★☆
90点





戦国武将・毛利元就<3本の矢>の逸話をヒントにしてシェイクスピアの「リア王」をもとにした黒澤明最後の時代劇。監督自ら「ライフワークで、最高傑作」というほど自己の世界観を描いた162分渾身の作。
一文字秀虎(仲代達矢)が七〇歳を迎え当主の座を太郎(寺尾聰)に譲り、二の城城主・次郎(根津甚八)三の城城主・三郎(隆大介)が支えるように申し渡す。それがもとで親子・兄弟の壮絶な骨肉の争いとなる。歌舞伎・能狂言を思わせる極限の映像美(色・美術・衣装・風景)を飽くなく追及した黒澤の集大成だ。
いっぽう秀虎の仲代を始め狂阿弥のピーターがデフォルメされ過ぎていて人間を描けなくなった観念的な作品でもある。顔のアップを殆ど使わず自然のなかに漂う人間たち。これは長年のパートナーである脚本家・小國英雄の途中降板が多分に影響しているのだろう。
「人類への遺言」であると監督がいう世界は、神仏に見放されてもそれが人間の営みであるという厭世感が満ち溢れている。僅かな救いは次郎の正妻・末の方(宮崎美子)の仏を信じる姿。
相変わらず迫力ある合戦シーンや城の炎上も壮絶というより美しい絵巻を観るようだ。武満徹の音楽は日本が誇る緊張感溢れる音色で芸術の域に達している。







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