砂漠の流れ者
1970年/アメリカ
西部劇風ロマンティック・コメディ
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 80点
「ワイルド・パンチ」でバイオレンス・アクションの先駆者と言われたサム・ペキンパーの西部劇風ロマンティック・コメディ。本格的西部劇の全盛時代が終わり、西部を舞台にした人間ドラマへ転換しつつあった頃の作品。探鉱試掘で砂漠を旅する男が裏切られた仲間に復讐するため駅馬車の中継所を造り再会を待つ。
出てくる人物のキャラクターがキッチリ描かれていて脇役まで行き届いた演技がされているのに感心。出演者がかなり地味なため興業的には失敗作で公開時話題にもならなかったが、のちに評価が上がって再公開された所以が分かる小品ながら傑作である。
主演の人間臭い男、ジェソン・ロバーズと娼婦ながら可愛いレディのステラ・スティーヴンスのヤリトリがとてもほのぼのしていて、大人のラブ・ストーリーを醸し出している。2人に絡むインチキ牧師役デイヴィッド・ワーナーが飄々としていい。3人ともこんなにいい俳優だったかと見直したほど。
ペキンパーはカットバック、スロモーションを多用したコメディ・タッチと2人の唄をBGMに取り入れたミュージカル・タッチを交えながらの多彩な画作りもスムースで違和感はない。時代に取り残された男の終盤の展開も哀愁があって、思わぬ拾い物をして得した気分になった。