晴れ、ときどき映画三昧

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「親愛なるきみへ」(10・米) 75点

2013-06-09 11:10:58 | (米国) 2010~15

 ・ベタな恋愛劇を避けたハルストレム監督。

                  

 ニコラス・スパークスの原作「きみを想う夜空に」を、「サイダー・ハウス・ルール」(00)、「ショコラ」(01)のラッセ・ハルストレム監督が映画化。

 サウスカロライナの海岸で米軍特殊部隊兵士と、心優しい大学生が運命の出会いで恋に落ち、除隊後結婚を誓いあう。手紙のヤリトリで愛を確かめ合うが、除隊の直前に9.11事件が起き、2人を取り巻く環境が変わってしまう。それぞれ問題を抱えながら、家族とくに父と息子の関係が浮き彫りにされてゆく。

 原作は未読だが、作者は「きみに読む物語」でお馴染みのベストセラー作家で映画化獲得競争になったという。おまけにハルストレム監督なので期待が膨らんだ。

 キャスティングを特に大切にする監督らしく、主人公ジョンにチャニング・テイタム、ヒロインのサヴァナにアマンダ・サイフリッドという売り出し中で勢いのある若手を抜擢。2人の恋愛劇を柱に、自閉症で外出を避けコイン収集に没頭するジョンの父にリチャード・ジェンキンス、サヴァナの隣人で自閉症の息子と暮らすティムにヘンリー・トーマスを配している。

 序盤で銃弾を受け意識が薄れるジョン。想い起こしたのはサヴァナではなく、父親が大切にしているエラー・コインだった。

 ジョンとサヴァナの純愛は電撃的で、僅か18時間の余暇も飛んで帰るほどの熱愛振りだったが、9.11事件発生で2年延長を決めたジョン。2人は手紙でのやり取りが続くが、携帯・インターネットで頻繁に愛を確かめ合う現代の若者たちにとって、手紙だけの遣り取りはもどかしい。

 それだけ想いが募ると分かっていても現実的ではない。本作でもジョンの赴任地が極秘であっても電話は通じていて、サヴァナは電話でも話せたのに・・・。

 知らなかったがアメリカでは「Dear Jonn Letter」と云う言葉があり、<女性が男性に別れを告げる手紙のこと>なんだとか。ちなみに本作の原題は「Dear JOHN」である。

 「欠点を抱えた人間の<声にならない感情を描く>人間賛歌」を信条としているハルストレム監督に、ベタな恋愛劇を期待してはいけない。


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