・ ガンジーを壮大なスケールで描いたR・アッテンボローと成りきったB・キングズレー。
「インド独立の父」マハトマ・ガンジーの青年期から78歳の生涯を壮大なスケールでその足跡を描いた歴史ドラマ。
監督は「遠すぎた橋」(77)のリチャード・アッテンボローで20年来の企画を実現させた渾身の作。
ガンジーは非暴力不服従の活動家として英国領だったインド帝国の独立運動の担い手として知られる英雄。本作では史実をもとに、人間ガンジーの人となりの様々なエピソードを淡々と描いている。
何といってもガンジー役を筆者と同い年であるベン・キングズレーが、南アフリカの青年弁護士時代から78歳で暗殺されるまでを一人で演じきったのが最大の功績だ。
’93南アで有色人種として列車から放り出される人種差別を受け、アシュラム(共同農場)建設、インド人労働者結束を呼びかける。
’15ボンベイへ帰国すると英雄として迎えられる。祖国では宗教の違いを超え民族自決の精神を唱え英国への経済依存からの脱却を試み、投獄されながらも抵抗運動を続け断食という手法で訴え続けて行く。
一介の弁護士から活動家・宗教家への軌跡が崇高に描かれ、英国製の織物を焼き捨て、塩の大行進をするなど反英国の行動は無抵抗主義とは違う行動のひとであることが分かる。
映画なので事実では描かれない「カースト制度容認」や「禁欲主義の実態」は省かれているが、マザー・テレサと並ぶインドが生んだ偉人であることは紛れもない。
何より民衆に慕われたのがその証で、その要因にマスコミ操縦の巧さや知識人を味方にする人間的魅力があった。
南ア時代はNYタイムズ記者(マーチン・シーン)や英国人牧師(イアン・チャールソン)が居たし、晩年はライフ誌女性記者(キャンディス・バーゲン)が世界中に彼の日常が伝えられた。
そして周辺にはカストゥルバ夫人やネルー(インド初代首相)、パテル、ジンナー(パキスタン建国の父)などがいた。
ガンジーが願っていた「ヒンズーとイスラムが融合したインド」は成立しなかったが、忍耐と信念の人で断食という武器を使わない手段で平穏な世の中を実現しようとした英雄であることは本作で充分伝わった。
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