・ 19世紀末のNY社交界を再現、M・スコセッシが描いたラブ・ストーリー。

19世紀後半、NYの社交界でのラブストーリーを描いたイーデス・ウォートンの小説をマーティン・スコセッシ監督・脚本で映画化。共同脚本にジェイ・コックス。
名門アーチャー家の長で弁護士のニューランド(ダニエル・デイ=ルイス)はミルゴット家の若くて美しいメイ(ウィノナ・ライダー)と婚約していたが、そこに現れたのが幼馴染の伯爵夫人エレン(ミシェル・ファイファー)。メイとは従妹同士で結婚してヨーロッパへ渡っていたが、横暴な夫から逃れNYへ戻ってきた。
社交界の習わしを受け入れ従順なメイはすぐに結婚したいというニューランドを待たせていた。しかしエレンが現れ、彼の心は複雑な思いに駆られ逢うたびごとに惹かれて行く。
一方離婚スキャンダルを避けたいミンゴット家にはメイとニューランドの結婚がもってこいの明るい話題となる。
エレンは次第に社交界から排除され、ニューランドの思いは益々許されぬ恋となってしまう。
巨匠M・スコセッシ作品のなかでは異色のラブ・ストーリーであまり得意なジャンルではないと思うが本人は結構お気に入りのよう。
例によって綿密な時代考証とともに寸分の隙も無い映像美は19世紀末のNYの再現して魅せてくれる。冒頭のオペラ劇場の風景をはじめ舞踏会のセット、壁面の絵画、料理・食器、衣装・調度品など見ているだけで時空を超えて臨場感溢れる華やかさ。
ニューランドとエレンの恋は不倫なのか?純愛なのか?観る人によって違うところが面白い。ただし、筆者にはナレーター(ジョン・ウッドワード)の字幕が情報過多で、かえって集中できないキライも・・・。
主演のD・D=ルイスは、どんな役柄でもこなす芸域の広さを魅せてくれる俳優で、本作でも不倫の恋に悩みながら名門の家長らしい品格・節度を兼ね備えた悩み多き男ぶりを演じていた。手指のしなやかさにはびっくり!
M・ファイファーは美貌の伯爵夫人役だが、華やかさ神秘性があまり感じられない。好みの女優だが、本作にはハマらなかった。
むしろW・ライダーが清楚で従順そうな外面とは裏腹の、上流社会の女性らしい強かさが出ていて際立っていた。これはスコセッシ演出の勝利ともいえる。
このての作品はラストシーンがとても大切だが、本作は終盤急いだきらいもあったもののなかなかオシャレな幕切れ。2時間20分弱の長編を我慢した甲斐があった。
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