晴れ、ときどき映画三昧

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「リバー・ランズ・スルー・イット」(92・米)80点

2019-07-23 12:01:12 | (米国) 1980~99 


 ・ モンタナの自然が美しいR・レッドフォードの監督3作目はB・ピットの出世作。


 「普通の人々」(80)で監督として高評価を得たロバート・レッドフォードが監督に専念、ノーマン・マクリーンの自伝「ノーマンの川」を映画化。グレイグ・シェイファーが主人公ノーマンを演じ、弟ポールに扮したブラッド・ピットがブレイクしたヒューマンドラマで、モンタナの雄大な自然を美しく切り取ったフィリップ・ルースロがオスカー・撮影賞を受賞した。

 厳格な牧師のマクリーン一家の真面目な長男ノーマンは、幼い頃から厳格だが慈愛に満ちた父(トム・スケリット)から自由本奔放な弟ポールとともにフライフィッシングの極意を教わってきた。
 モンタナの自然で生まれ育った兄弟は、やがてそれぞれの人生を歩み始める・・・。

 映画化を渋るマクリーンをレッドフォードが口説き落とし映画化したため監督に専念。ただしナレーターとして、ノーマンの人生を辿るその熱い想いを観客の心に語りかけている。(若干、語りすぎの面も)

 モンタナの風景は、雄大な自然と美しい川の流れがとてもマッチしていて、そこで穏やかで慎ましく暮らす4人家族がとても羨ましくなってくる。釣りに興味がなくてもフライフィッシングが神聖なものだという父の言葉に幼い兄弟がそれぞれの解釈で馴染んで行く様が丁寧に描かれる。

 一家はキリスト教長老派の教えを忠実に守る父と心優しく控えめな母(ブレンダ・ブレシン)の両親から性格の違う兄弟を描き、理想の教育を示唆するようなところもあった。
 決して何事も押しつけず兄弟を平等に愛しながら、父は弟を母は兄がより愛しているのでは?と感じさせるシーンがある。

 長じてノーマンが愛した雑貨やの娘ジェシー一家との家族の違いが描かれているのも興味深い。

 ゆったりとしたテンポで描かれるそれぞれの逸話は丁寧だがメリハリがないともいえる。とくに若い頃本作を観ると退屈でブラピの金髪と少年のような屈託のない笑顔しか記憶に残らなかったという人も多かろう。

 筆者のような高齢者には、美しい川の流れと人生の教訓に満ちた数々の言葉とともに懐かしく味わう作品として楽しめた。

 とくに父が最後の説教「ひとは家族であっても完全に理解することはできない。でも完全に愛することはできる。見守ることは可能だ。それこそが家族の役目である」が印象的。

 俳優業を引退するのでは?というレッドフォードが今後も監督として映画作りに関わってくれることを願っている。
 


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