晴れ、ときどき映画三昧

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「ニュースの真相」(15・米/豪)70点

2019-07-19 12:09:53 | (米国) 2010~15


 ・ ジャーナリズムの影の部分を描いた社会派エンタテインメント。


 大統領軍暦詐称事件を流したTV報道番組「60ミッニッツⅡ」のプロデューサー、メアリー・メイプスのスクープを巡って、その舞台裏を描いたドラマ。
 「ゾディアック」(07)のジェームズ・ヴァンダービルト監督が、M・メイプス原作「大統領の疑惑」をもとに書き下ろし、ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォードが共演。

 04年、米国大統領ジョージ・W・ブッシュが再選を目指していた。米国最大のネットワークを誇る放送局CBSで長年アンカーマンを務めるダン・ラザーの人気番組「60ミッニッツⅡ」が大統領の軍歴詐称疑惑を報道した。
 それは、番組プロディーサー、メアリー・メイプスが00年から追っていたスクープだった。
 しかし放送直後に証拠文書に偽造の疑いがあるとの保守派勢力からの反撃メールが多数寄せられ、TV局はその信憑性を問われることに・・・。

 「インサイダー」(99)もA・パチーノ扮する「60ミニッツ」の名プロデューサー役で製薬会社の不正疑惑を描いた作品だったが、類似作品だろうか?と思いながら鑑賞した。

 ネット社会の象徴的事件として<21世紀最大のメディア不祥事>といわれた事件をメイプス自身が出版した内容をドラマ化しているため、TV局やジャーナリズムの影の部分を捉えメディアとは?を改めて考えさせる実録ドラマのテイストはとてもよく似ていた。
 同時に、主人公メアリーに扮したK・ブランシェットとダンのR・レッドフォードの疑似親子とも思われるような深い絆が色濃いものとなっていて、エンタテインメント仕立てのドラマでもある。

 このあたりで真相を追究する実録ドラマを期待したら肩すかしを喰らってしまう。元来軍歴詐称の真偽からキリアン文書の正疑にすり替ってしまうのは本末転倒であるからそこに焦点を当てて欲しかった気がする。

 とはいえメアリーが一途に自分の信じることに邁進する勇気は、ダン・ラザーでなくても疑いを持たず信じたいと思わせ、演じたK・ブランシェットの魅力に引き込まれてしまう。彼女の苦境をTV局という組織が救えないところを観るにつけ、社会の現実を思い知らされる。おまけに実の父親との不仲までスキャンダルになってしまう。

 嘘をついたのは誰なのか?真実の追究の難しさとフェイクニュースの危うさは今日の日本やに世界に蔓延していて、メアリーの<自分が信じたいことを事実と見なすという行為>はセンセーショナルと誤報のリスクが表裏一体であることを教えてくれている。



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