晴れ、ときどき映画三昧

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「砦のガンベルト」(67・米)70点

2023-03-10 17:05:16 | 外国映画 1960~79


 ・ 勧善懲悪のマカロニ全盛期に作られた米国製西部劇。


 流れ者ガンマンのチェカが、クレンデノン砦で出逢った昔の恋人を守るため先住民からの奇襲に巻き込まれる経緯を描いた西部劇。原題は「CHUKA」。
 ヒッチコック作品「鳥」(63)で弁護士役を演じたロッド・テーラーがリチャード・ジェサップの小説を製作、主演のチェカに扮している。
 共演は先住民・アラパホ族から砦を守る指揮官バロア大佐にイギリスの名優ジョン・ミルズ、大佐に心酔している鬼軍曹ハーンズバックに「マーティ」(55)のオスカー俳優アーネスト・ボーグナイン、偵察員トレントにジェームズ・ホイットモアという個性豊かな芸達者を揃え、チェカのかつての恋人ベロニカ夫人に元ボンドガールで美形のルティアナ・パルッツイという豪華な布陣で申し分ない。

 当時西部劇はイタリア製に席巻され本場ハリウッドでは西部劇は過去のものとされていた時期。名作「駅馬車」のリメイク(65)を手掛けたゴードン・ダグラス監督を起用し、勧善懲悪ものではない人間の心の奥に秘めた過去のしがらみを表現しようと挑んだもの。

 全滅した砦に残された一つの墓に掛けられたガンベルトが騎兵隊のものではなく民間人のものだった謎を解くスタイルで進行するドラマは原作者R・ジェサップ自身のシナリオによるものだが如何せん派手さがない。
 過去に隊を全滅したトラウマを抱える大佐と信望する軍曹との絆も会話だけで判明するし、ベロニカとの恋も想定内。
 食料不足で砦を奇襲した先住民の正当性など映画ならではの手法が欲しかった。

 おまけに主演したR・テーラーに流れ者ガンマンに不可欠な孤高の魅力が感じられずC・イーストウッドなら成立したかもと思わずにはいられない。
 いろいろ消化不良な点もあったが果敢に西部劇に挑んだR・テーラーには敬意を表したい。

 
 


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