晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「わが街」(91・米) 70点

2015-01-27 08:00:03 | (米国) 1980~99 
・<人生とは映画のようなもの、映画とは人生のようなもの>を描いた群像劇。

  

 ’92ロス暴動の前年に映画化された人生の転換期を迎えた6人の男女を描いた群像劇。「白いドレスの女」(81)で監督デビューしたローレンス・カスダン監督・脚本でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞している。

 弁護士マック(ケヴィン・クライン)はサッカー観戦後、近道をしようとしたとき車がエンスト。黒人少年5人に囲まれてしまう。そこへと通りかかったのがレッカー車運転手のサイモン(ダニー・クローバー)。サイモンは、マックを救いグランド・キャニオン行きを勧める。こうして偶然出会った2人は不思議な運命を感じ始める。

 サスペンスタッチで始まるこのドラマは、幸せと不幸せは紙一重。それでも人間は誰かと関わりを持ちながら生きて行くんだということを語りかけている。マックは親切心でサイモンの妹一家の住まいの世話をしたり、サイモンに秘書の友人ジェーンをデートの相手として紹介したりする。単なるお節介にも見えるが見返りを期待しないで他人の世話をするのは、サイモンという一生出会うことのなかった黒人の友人を得たから。マックの妻クレア(メアリー・マクドネル)は息子の成長とともに生き甲斐を失いかけたところにジョギング中に赤ん坊を見つけ家に連れ帰る。マックの友人映画プロデューサー・デイヴィス(スティーヴ・マーティン)は白昼強盗に遭い太ももを刺され入院を余儀なくされ、バイオレス・アクションではない映画作りを思い立っている。マックの秘書ディー(メアリー=ルイーズ・パーカー)はマックに想いを寄せ1回だけ過ちを犯してしまう。

 犯罪が突然身に降りかかったり地震が起きたり時代の閉塞感が漂う大都会ロス。6人の暮らしが転換期を迎えたとき、どのように行動したかをL・カスダンはパッチワークのように描いている。原題が「グランド・キャニオン」なのは、大自然の中で人間の日常の悩みはちっぽけなものと言いたかったのだろうか?

 「スターウォーズ」シリーズや「ボディ・ガード」など幅広いジャンルで活躍するなか、何故本作のような地味な作品を作ったのだろうか?プロデューサー・デイヴィスの台詞<人生とは映画のようなもの、映画とは人生のようなもの>を実践してみたのだろう。